大阪ガスネットワーク

エネルギー・文化研究

  • サイトマップ
  • お問い合わせ

CELは、Daigasグループが将来にわたり社会のお役に立つ存在であり続けることができるように研究を続けています。

  • DaigasGroup

JP/EN

Home>コラム

コラム

コラム一覧へ

2019年07月05日 by 奥田 浩二

スタートアップとのつきあいかた(6)

スタートアップとのつきあいかた(6):

ベンチャービジネスの活性化 福岡県福岡市の事例(前編)

 

 今回からはベンチャービジネスの活性化事例を紹介します。(注1)


(注1)ベンチャービジネスとは何かについては「第2回 :2つの起業タイプ」をご参照ください。
      http://www.og-cel.jp/column/1279678_15959.html

  

 「注目する起業都市」として常に名前のあがる福岡市。福岡市を特集する書籍や雑誌記事も多く刊行されています。一体、福岡市では何が起こっているのでしょうか。(注2)


 (注2)本内容は下記の論文に基づいています。 (必要に応じて、一部情報を更新しています)
     奥田浩二「福岡市における地域起業政策 −福岡市の起業“ムーブメント”を考える」
     『地域産業政策研究』(龍谷大学京都産業学センター・地域産業政策研究プロジェクト)
     第3号, 1-19頁, 2018年

 

     なお、福岡市の活動は、厳密にいえば「ベンチャービジネス」に限定されるものではありません。

     ここでは、活動内容の濃淡からベンチャービジネスに区分しています。  


 

それは市長の「宣言」から始まった。

 福岡市が起業に大きく舵をきるようになったのは、2010年に高島宗一郎が市長に就任してからだといわれています。高島市長は就任後の2011年に米国のシアトルを訪問。福岡市の半分程度の人口のシアトルが、アマゾンやスターバックス、マイクロソフトを生み出したことに感銘を受けます。そして、2012年9月に「スタートアップ都市・ふくおか」宣言を行いました。同年12月に策定された「第9次福岡市基本計画」では「創造的活動が活発で、多様な人材が新しい価値を生み出す」という目標を設定し、「新たな挑戦を応援するスタートアップ都市づくり」を施策に織り込んでいます。


起業の“ムーブメント”を起こす! 

 高島市長は起業支援に強いリーダシップを発揮し、次々に起業支援に関連する施策を実現していきます。

 一部をあげると次のような項目です。


2014年5月   国家戦略特区「福岡市グローバル創業・雇用創出特区」
2014年10月  スタートアップカフェ開業
2015年3月   「グローバル創業都市・福岡」ビジョン
2015年12月 スタートアップビザ受付開始、 スタートアップ法人減税(国税)
2016年6月    スタートアップ賃料補助


 スタートアップカフェは起業のためのワンストップ窓口であり、起業相談や起業セミナーを開催します。当初は、高島市長も起業セミナーに参加しています。市長の参加は、起業家に多くの勇気を与えるものでしょう。

 このような一連の活動を通じて、起業活動を活発にすることを「起業のムーブメントを起こす」と表現しています。

 そして、2017年4月にオープンしたのがフクオカ・グロース・ネクスト(Fukuoka Growth Next、以下FGN)です。
 FGNは起業支援の総本山ともいえる拠点です。場所は、福岡の天神駅近く。旧大名小学校をリノベーションしたものです。2棟3階建てで、延べ床面積は約3,800m2(開設当時)。個室とシェアオフィスを備えています。開設にあたり、別の場所で活動していたスタートアップカフェなどの起業関連機関をFGNに集結させています外装や内装では小学校の名残を残しています。(注3)


(注3)その後リノベーションが行われました。本年(2019年)5月31日に、リノベーション後のオープニングイベントが開催されています。


図表1. 開設当時(2017年)のFGNの様子 


 筆者撮影(地図はGoogle Mapを加工)


 FGNが開設すると100社を超える起業家や起業関連機関が入居します。開設後2年ですでに入居企業の資金調達額が70億円に達しているとのことです。

 様々な特徴的な起業や機関が入居していますが、特にユニークなのが九州大学起業部です。次回はその取組みをご紹介します。(次回に続く) 


今回のまとめ

  ・市長がスタートアップ都市宣言を行い、“起業のムーブメント”を起こそうとしています。
  ・スタートアップカフェやスタートアップビザなど関連施策を順次導入しました。
  ・注目すべきはFGNの開設です。多くの起業家・起業関連機関を集積させています。

 

次回の予告

  ・ベンチャービジネスの活性化 福岡県福岡市の事例(中編)


スタートアップとのつきかいかた 記事一覧

   第1回:起業の現状はどのようになっているのか
      http://www.og-cel.jp/information/1278928_15932.html


   第2回:2つの起業タイプ
      http://www.og-cel.jp/column/1279678_15959.html


   第3回:スモールビジネスの活性化 茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(前編)

        http://www.og-cel.jp/column/1279684_15959.html 


   第4回:スモールビジネスの活性化 茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(中編)

      http://www.og-cel.jp/column/1279955_15959.html 


   第5回:スモールビジネスの活性化 茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(後編)
      http://www.og-cel.jp/column/1280447_15959.html

   
(執筆者:エネルギー・文化研究所 研究員 奥田 浩二)

本連載について

 本コラムでは、起業で地域を元気にするための鍵を考えていきます。記載内容は、執筆者が入手した情報をもとにしていますが、執筆者の意見を含んでいます。各内容は、執筆者が所属する機関・企業の公式・公的な見解を表明するものではありません

  • U−CoRo
  • 語りべシアター
  • 都市魅力研究室
  • OMS戯曲賞
Informational Magazine CEL

情報誌CEL

【特集】場づくりのその先へ −つながりから社会を変えていく

近年、まちづくりにおいて「場づくり」が注目されています。 その試みは、時に単なる...

バックナンバーを見る
  • 論文・レポート・キーワード検索
  • 書籍・出版
  • 都市魅力研究室
  • FACEBOOK

大阪ガスネットワーク(株)
CEL エネルギー・文化研究所

〒541-0046
大阪市中央区平野町4丁目1番2号

アクセス