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2023年01月05日 by 前田 章雄

エネルギーよもやま話20 再生可能エネルギーの欠点(課題)を考えてみよう!


 

 

「エネルギーよもやま話」では、エネルギーに関する情報をワンポイントでわかりやすくお伝えしたいと思います。

 

こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。

太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入がかなりすすめられているとはいえ、さらなる普及拡大が必要です。そのためにも、課題を克服させるという意味において、あえて再エネの欠点について考えてみたいと思います。

 

 

1.再エネの欠点とは、なんでしょうか?

講演会などでお話をさせていただいた際に、みなさんに表題の質問をすると、必ず当てていただける回答があります。それは、「再エネは天気によって発電量が変わる」というものです。とくに太陽光パネルを用いた発電では、そのようなイメージでお答えしやすいのでしょう。

 

この性質を、自然変動性と呼びます。

太陽光パネルは、晴れていれば目いっぱい発電してくれますが、曇りになれば発電量が一気に低下し、雨になればほとんど発電しなくなります。ましてや夜は、まったく発電してくれません。

 

こうした自然変動の陰で、電力会社さんは需要と供給を一致させるために、おもに火力発電を一生懸命に追従させています。もし追従に失敗すると、広域で停電する、いわゆるブラックアウトが起こってしまうからです。

 

しかし、電力会社の努力だけでは限界もあります。そこで限界を超えそうな場合は、出力制限といって再エネの発電を予め停止してもらう処置をおこないます。

出力制御は大きな追加の費用なしにブラックアウトを回避できる方策なのですが、再エネ事業者からすると、せっかく発電した電力が有効に活用されない、といったジレンマが生じます。出力制限の要請がたびたび起こると、再エネへの新たな投資意欲が減退してしまいます。

 

そこで考えられたのが、水素の活用ですね。このお話は、以前のコラム「エネルギーよもやま話15」をお読みください。

 

つぎによく出てくる回答が、「再エネには広い面積が必要とされる」というものです。

太陽エネルギーは広く薄い、という性質があります。そのため、原子力発電所1基分と同じ電力を得られるよう太陽光パネルを敷き詰めると、東京の山手線の内側すべての面積が必要となる、といったこともよく言われました。

もちろん、だから太陽光なんかやめてしまえ、ではなく、より効率の高いパネルをいろいろな場所に敷き詰めるにはどうすればよいか、さらなる工夫をしなければなりません。

 

ほかに、設置コストを指摘される方もおられます。

設置コストが高ければ、それが電力単価に跳ね返ってしまいます。もともと、普及とコスト低減は裏腹な関係にあります。安くなければ普及しないが、普及しなければ安くならない、といった問題です。

(再エネ賦課金の功罪については、「エネルギーよもやま話14」をご参照ください)

そこで、屋根材や壁材と一体化したパネルを考えて建築コストと総合してコストダウンに貢献するなど、根本的な発想の転換も必要になってくるでしょう。

 

2.見落としがちな欠点として、ほかに何があるでしょうか?

 

少数の方からは、メンテナンスの問題を指摘されます。とても鋭いご意見だと思います。

どのようなケースでも生じる問題なのですが、導入することばかりに気を取られてしまい、年月が経過した際のメンテナンスや撤去のことが考慮されないということは、よくあります。

 

設置してくれた設備業者が倒産してしまい、メンテナンスを誰にお願いすればよいか悩んでいる。といったことでお困りの方も実際に出てきています。また、心無い事業者がいると仮定すれば、壊れたパネルを不法投棄してしまうことだって考えられます。

 

不法投棄による景観悪化も問題ですが、安全性にも問題が生じます。太陽光パネルはキチンと処置してから処理しなければ、太陽が当たれば発電し続けます。ショートして火災が発生する危険だって生じます。

そのため、ある一定以上の規模の太陽光パネルの設置事業者には撤去費用の積み立てが義務付けられるようになりましたが、初期に設置された事業者や小規模事業者は撤去時に新たに費用を捻出する責任が生じます。

 

最後に、ほとんどの方が指摘されないことが、鉱物資源の問題です。

再エネとは、薄く広がる太陽エネルギーを相手にしているため、どうしても多くの装置が必要になります。装置には鉄や銅、アルミなどの鉱物資源のほかにも、レアメタルといった希少資源も多くつかわれています。

 

再エネとは、エネルギー資源を海外から購入せずとも自分で生み出してくれるものです。一方で、エネルギーを生み出す装置には多くの鉱物資源が必要であり、そのほとんどを海外に依存しているのが日本の実情なのです。

 

どのような方策にも万能なものはありません。そのため、あえて欠点(課題)を考えることで、その課題をどう克服するのか知恵を出していくことも必要でしょう。

上に挙げた欠点(課題)以外にも、考慮すべき点は多くあると思います。思いつかれた方は、ぜひ教えていただけますとありがたいです。

 

 

このコラムでは、エネルギーに関するさまざまなトリビア情報を、シリーズでお伝えしたいと考えています。次回をお楽しみに。

 

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