情報誌CEL
システム思考 枝廣淳子、小田理一郎
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2016年07月01日
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情報誌CEL
(Vol.113) |
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システム思考
何か問題が起こったとき、私たちは問題の特定の要素に着目して解決しようとしがちである。しかし、その解決策がさらに悪い結果につながったり、何度も同じ問題が発生したりする場合には、どうすればよいのだろうか。さまざまな要素のつながりに着目して全体を捉え問題解決を図る「システム思考」を日本に普及させてきた、枝廣淳子氏と小田理一郎氏にお話を伺った。
1950年頃から米国のマサチューセッツ工科大学などが自然科学分野にあった一般システム論をビジネスの複雑な課題に応用し、効果的に解決策を導き出す思考法として生み出し、デュポン、インテルなど多くの企業で問題解決に用いられている。そんなふうに紹介されたら、多くの人が自分とは縁のない小難しそうな手法だとして敬遠するかもしれない。しかし、それは、ビジネスのみならず、個人の抱える小さな悩みから地球規模の環境問題にまで適用可能だという。なぜそのようなことができるのだろうか。
システム思考は「つながり思考」
「『つながり思考』と呼んだ方が、わかりやすいかもしれません。さまざまな物事のつながりをたどり、できるだけ全体を広く捉えるというのがシステム思考です」
環境ジャーナリストとして活動しながら、この考え方を日本で広めてきた枝廣淳子氏がシステム思考と出会ったのは2002年。世界中のシステム思考や持続可能性の研究者、実践家のネットワークであるバラトン・グループがハンガリーで開いた合宿に招待されたときのことだ。
「環境問題では、この問題を解決しようと思って何かをしたらまた別の問題が起きるということが珍しくありません。たとえば、温暖化対策のためCO2吸収率の高い樹種だけを選んで植林したら、こんどは生物多様性の問題が出てきた、というようなケースです。環境と社会と経済は全部つながっている。環境問題だけでの解決はありえない。目の前の問題についてよく考え、個別最適化を図っても、全体の最適化は図れない。では、どうしたらよいのか。そんな疑問を抱えていたときにシステム思考と出会ったのです。システム思考があれば、複雑なつながりをもつ問題について考えることができるだけでなく、それを他者に伝えて共有することも容易にできます」