今年も暑い日が続いていますが、この6月下旬の平均気温は統計開始(1961年)以降、6月としては過去最高の気温だったそうです。高校野球の試合で選手が熱中症でばたばた倒れ、試合続行不可能となり没収試合になったり、室内でも高齢者が熱中症になり病院に搬送されるという新聞記事を多く目にします。今年の6月の大阪府内の熱中症による輸送人員は、543名で、昨年6月の105名を大きく上回っています(消防庁公表データ)。
熱中症は、「高齢者」、「乳幼児」、「児童」、「肥満の人」、「生活習慣病の人」がなりやすいといわれています。体温調整ができないのが大きな理由です。予防のためには、温度と湿度環境が重要です。この夏季の節電要請で、エアコンの設定温度を上げたり、あるいはエアコンを使わず、扇風機で暑さに耐えようと多くの人が対応していますが、前述の熱中症になりやすい人は要注意です。来月89歳になる私の父は、寝たきり状態で自宅介護していますが、父の部屋はエアコンのドライモードを使って、室温26℃、湿度60%〜70%の温湿度環境を維持し、こまめに水分補給をしています。熱中症予防には、暑さを避けることと水分補給が大切です。高齢者や乳幼児等は自分ではできないので、家族あるいは近所の方の声かけや手助けが必要です。
父の熱中症対策は完璧ですが、一方、家族は、リビングや寝室等では、できるだけエアコンは使わず、扇風機ですごし、節電に協力しています。電気のなかった江戸時代ではどうしていたのでしょうか?現在よりは夏場の気温が低かったとはいえ、夏の暑さには苦労していたと思われます。ところが、いろんな工夫や知恵で暑さをしのいでいたそうです。作家の石川英輔さんによると、夕方には家の前の道に打ち水をし、縁台を出して涼を取ったり、家の中に風の道をつくる設計をし、簾(すだれ)やよしずを使って、日射による熱を遮断しながら家の中に風を通していたそうです。団扇もこの時代に使われていました。物理学や建築学という科学がなかったものの人々の生きていくうえでの知恵が働いたのでしょう。また、夏は暑いものと認識し、現在人では耐えられない暑さでも、このような対策で夏を乗り切ったのでしょう。でも、熱中症は精神力やこのような対策だけでは防ぐことができず、江戸時代にも熱中症になる人はいたという記録があるそうです。
自分のことに戻りますが、今週健康診断を受けました。血液検査では、高血圧、高血糖値(糖尿)、高中性脂肪と生活習慣病のオンパレードの結果が出て、熱中症になりやすい体質であることが確認されました。熱中症にならないようにとアルコール濃度が低いビールで水分補給をしているつもりだったのですが、父の介護の関係で熱中症を調べると、アルコールは利尿作用と血管拡張作用があり、脱水症状を引き起こすことが分かりびっくりしています。ビールを飲んだら同じ量の水を飲まないといけないようです。自分自身の判断や間違った常識がいかに危険か再確認しました。昔は、スポーツ選手は運動中に水分をとるなと指導されていたそうですが、これも間違った常識であり、今はスポーツ選手はこまめに水分補給をしています。この他にも、「うなぎと梅干」等の良くない食べ合わせや「寝る前のホットミルクで安眠を」といった根拠のない間違った常識がたくさんあります。自分の体は自分自身で守らなければならず、正しい情報を得ながら熱中症にならないようにこの夏を乗り切るとともに体質改善を行っていきたいと思います。