私はエネルギー・環境領域の研究を行っています。エネルギーや環境に関する情報収集のため大学やNPO等が主催するセミナーやシンポジウムに参加し、また、場合によっては講師として講演する機会が増えてきています。その会場で気が付くのは、高齢者の参加が多いということです。みなさん熱心に講演を聞かれメモを取られています。休憩時間には、最近出版されたエネルギーに関する書籍を読まれている方も見かけます。シリーズのセミナーに毎回参加されている高齢者がたくさんおられるそうです。
エネルギー・文化研究所は3.11の東日本大震災後の生活者の意識・価値観の変化を把握するため実施したアンケート調査※を実施しましたが、その調査結果からも、“高齢者の環境への意識の高さ”が確認できます。「節電を含む省エネに関心を持っている」、「省エネに積極的に取り組んでいる」、「自然環境、自然の恵みへの感謝の気持ちが強くなった」という質問に対しては明らかに若年者層より高い回答をされています。また、「停電や災害への備え」もされています。
内閣府の平成23年版「高齢社会白書」によると、高齢者のグループ活動への参加は約6割で、今後参加したい高齢者は約7割、さらにNPO活動に対する関心も高く、“元気な高齢者”が増加しています。私もいくつかのNPOに参加していますが、結構高齢者の方がおられます。
わが国の総人口は1億2,806万人(2010年10月1日現在)ですが、65歳以上の高齢者人口は過去最高の2,958万人となり、総人口に占める割合(高齢者比率)も23.1%となっています。2012年1月30日に国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口」では、2060年(平成72年)には、高齢者比率が39.9%へと約17ポイント増加し、2.5人に1人が65歳以上という時代になると予測しています。
これからの高齢社会に向かって、元気のない若年者層が、“元気で環境意識の高い高齢者”に引っ張られていく時代になるのでしょうか?若年者層と高齢者層との交流の場を持ち、高齢者から様々な知恵や教えを授かることも必要ではないでしょうか。
※CEL意識調査:関東、関西の2地域、満20歳以上の男女、20歳〜60歳以上の5つの年齢層、各25人ずつ、計500人を対象としたインターネット調査。2011年6月と2012年1月の2回実施。