政府および関西電力は、今夏の電力供給不足から、7月2日(月)〜9月7日(金)の平日、9時〜20時の間、15%以上の節電要請を行っています。エネルギー・文化研究所(CEL)では、生活者がこの夏を乗り切るための賢い暮らし方のヒントをウェブサイトのコラムとして、環境月間がスタートする6月1日(金)から情報発信を行うことにしました。 その初回として、「自宅の電気機器」について考えてみることにします。電気が不足する夏の昼間(14時頃)の電気機器の平均的な使用実態ですが、最も多く電気を消費するのは「エアコン(家庭の全電力消費量の58%)」です。次に、「冷蔵庫(17%)」、「テレビ(5%)」、「照明(6%)」、「温水便座(0.6%)」、「パソコン(0.4%)」と続きます(資源エネルギー庁推計)。ここで忘れてはいけないのが「待機電力」です。メモリーや時計が内蔵されているテレビやレコーダー等は、使っていなくてもプラグを差し込んでいるだけで電気を消費します。この電力は小さくても待機時間は長いので、年間平均では6%にもなり、一世帯当たりの年間の待機電力量は285kWh/年になります(省エネルギーセンター報告書)。電気料金も約7千円/年と大きな金額です(25円/kWhとして)。 この夏を乗り切るため、まずは、自宅の電気機器の実態を把握しましょう。電気機器のリストを作れば、どの機器の消費電力が多いのか分かり、また削減効果も推測できます。カタログあるいは電気機器の本体のラベルから定格消費電力を読み取り、記録します。電子レンジは、出力600Wでも、実際の消費電力はその約2倍となるので注意しましょう。 定格消費電力は定常稼働した時の消費電力であり、実際の消費電力と異なる場合があります。実際の消費電力や待機電力を計測できる消費電力計があり、「エコワット」等の名前で3千円程度から販売されています。これらの機器を使って実際の稼働中の電気機器の消費電力を自分の目で確認すれば、電気の消費がリアルに実感できます。冷蔵庫にセットし、ドアを開閉すると数値が大きく変わるのが分かり、無駄なドアの開閉を減らそうという気になるでしょう。また、テレビの待機電力の大きさにもびっくりするでしょう。 我慢する節電は長続きせず、体にも良くありません。エアコンを止めたり、極端に設定温度を上げるなどの無理な節電をするより先に、使わない機器のプラグを抜いておく、テレビはリモコンでオフするのではなく本体の主電源スイッチで切るなどの待機電力カットや、人がいない部屋の照明を切るなど無駄な電力消費をなくすことが大事です。 消費電力計は、自治体の中には無償で貸し出してくれるところもあります。皆さんも一度試してみませんか。