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2012年06月28日 by 濱 惠介

【夏を乗り切る】冷房なしで過ごす工夫(その3)

冷房を使わなくて済む室内環境をつくる工夫の第三は、「自然の力で住宅を冷やすこと」です。エアコンを使って部屋を冷やすのは、ピーク時の電力消費を増やすばかりか、屋内を冷やす以上の熱量を屋外に捨てている訳ですから、環境全体としては「暖房」をしているようなものです。電力・機械力に頼らず住宅を冷やすために利用できる物理的作用としては、涼しい外気の取り入れ、水の気化熱、放射冷却などが考えられます。もちろん、これらは日射遮蔽と内部発熱抑制と併せてこそ生きるものです。

 

夜は外気温が日中よりも低いことは常識です。従って外気温が下がった夜に窓を開け風を通し、住宅そのものの熱を取り除けば室温が下がります。コンクリート建築の場合、冷却された躯体は日中でも温まりにくく、効果が顕著です。但し、最低気温が25℃以上の「熱帯夜」では換気による冷却の効果はあまり期待できません。それでも風による涼感(次の気化熱による)とも相まって、最も基本的な冷却方法です。一方、防犯や騒音の点から窓を開けても安全・快適という条件が必要です。

 

二番目の気化熱には、いくつかの方法があります。そもそも人体が暑さに反応して汗をかくのは、最も身近な気化熱による冷却作用。水1gが蒸発すると2.25KJ(キロジュール)の熱を奪います。路地や坪庭に水を撒く「打ち水」はこれを住空間で利用する知恵。同じ原理の仕事を黙々とやってくれるのが植物です。葉が茂った樹木は木陰を作ると同時に空気を冷やしているのです。壁面緑化(写真)も、外壁を日射から守ると同時に蒸散作用で壁近くの気温を下げています。

 

三番目の放射冷却は、まだ建築への積極的な適用は稀でこれからの可能性です。宇宙は季節を問わず絶対零度に近い極寒の空間で、地面や屋根から放射される熱は宇宙へ吸い取られます。もし昼間は日差しを遮り夜間だけ天井を空に開く部屋ができれば、冷却効果が最大化されます。天井のない部屋はもはや室内ではありませんから、その実現はなかなか難しいところ。具体的なイメージとしては、ガラス天井と断熱性の高い開閉式の屋根を組み合わせ、熱容量の大きな素材で床や壁を作ります。屋根を昼間は閉ざし夜は開ける(ガラス天井だけにする)ことで、自然冷房の部屋ができます。星空を見ながら眠りにつくなんて、ロマンチックですね。

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