一年で一番の「ハレ」の日である正月の文化について考えてみます。
我が家の年末には、キッチンから、日ごろ感じない匂いが出てきます。その匂いはおせち料理に使う「棒鱈」です。乾燥棒鱈を何日もかけて水で戻しあく抜きをするのですが、その匂いが結構臭く、この匂いでああもうすぐ正月だなあと感じます。鶏ガラでだしをとり、そこに戻した棒鱈を入れ煮込み、味付けをしますが、臭さが徐々に甘い香りに変化していきます。この他、黒豆、田作り(ごまめ)、栗きんとんなど、約20種類の手作りのおせちが出来上がります(この他に市販のかまぼこなどもあります)。私は味見係と御重への盛りつけの手伝いをします。最近は、百貨店、コンビニなどでおせち料理が販売されており、自分で作る家庭は減少してきています。でも、市販のおせち料理は私の口に合いません。日ごろの料理で味覚が慣らされているのか、家内の味付けのおせちが美味しく感じます。娘たちも同じように感じているのか、その作り方と味付けを覚えようと毎年手伝っており、我が家のおせちが引き継がれていきます。
もうひとつのお正月文化は「もちつき」です。毎年、12月30日に実家でもちつきを行います。臼と杵を使っての昔ながらのもちつきです。つき手ともちの返し手の二人の息が合わないとうまくいきません。つきあがったもちを台に取り上げ、手でちぎって丸めます。ここから子供たちの参加です。自分で丸めた出来たてのもちにあんこや砂糖をくるんで美味しそうに食べています。このようなもちつきはほとんど見られなくなってしまいました。テレビでは、「○○の切りもち」のコマーシャルが流れており、スーパーなどで簡単に手に入ります。また、もちを食べる機会も減ってきたと思います。日本の伝統文化がまた一つなくなっていくような気がします。2〜3歳から参加している娘は20歳半ばになった今でも参加しています。小さい時から経験している伝統文化(行事)が気に入っているようです。
我が家にとっては、年末のおせちづくりやもちつきは家族みんなで協力して行う文化・行事であり、家族のきずなを確かめ合う絶好の機会です。日本の良き文化・伝統は残していきたいものです。