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2013年03月01日 by 鈴木 隆

鹿肉に思う

東京の知人からエゾ鹿の肉(写真)を送ってもらいました。北海道へ猟に行き、エゾ鹿を3頭仕留めてきたので、そのおすそわけ、とのことです。鹿肉は、高たんぱく低脂肪で、鉄分が多く赤みが濃い。ジビエ(狩猟によって食材として捕獲された野生の鳥獣)料理として出すレストランも増え、人気が出てきているようです。鹿肉を食するのは久しぶり。奈良県天川村の洞川温泉で鹿のたたきを食べて以来でしょうか。早速、すき焼きや照り焼きなどにして美味しく頂きました。

 

「山ふかみ ほぐしの松はつきぬれど 鹿におもひを 猶かくるかな」など、鹿は古来より和歌にも詠われてきました。最近は増殖し過ぎて農作物等に被害を及ぼす害獣とされています。休日に徘徊している京都西山の山中でも、しばしば鹿の鳴き声を聞き時折姿を見かけます。滋賀県の霊仙山(1,094m)では、頂上付近一帯の熊笹が坊主頭のように食べ尽くされていました。下山時には、10頭ほどの鹿の群れに遭遇。血を吸うヤマビルが鹿に寄生して生息域を拡大しており、川からずいぶんと離れた山中でも見かけました。兵庫県の氷ノ山(1,510m)のふもとでは、鹿除けのネットが延々と田畑の周囲に設置されていました。ふもとは漢字にすると麓、鹿が現れるわけです。

 

害獣として狼を駆逐した結果、鹿が増え過ぎたのだから、狼を復活させて鹿を減らせばよいとする声もあるようです。そもそも狼は害獣として駆除されたのであり、人間が狩猟で鹿の増殖を抑えるほうがやはり現実的でしょう。駆除した鹿の肉をジビエとして消費拡大し、地域振興につなげようとする動きも各地で起こっています。昨年狩猟を始めた40代の知人のような若手にがんばってもらいましょう。狩猟人口が年々高齢化し減少しつつあるからであって、知人にさらなるおすそわけを期待してではありません。

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