この5月の連休に、市内(奈良県橿原市)を散歩していて今井町に入ったら、飛鳥川に「こいのぼりの川流し」を見つけました。四万十川の川流しほど大規模なものではありませんが、江戸時代に武家で始まったこいのぼりが、現在も江戸時代そのままのたたずまいと情緒を残し重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けている町・今井町で泳いでおり、バックには大和三山の一つである畝傍山が見える風景はなかなかのものでした。
こいのぼりは、端午の節句(5月5日 別称 菖蒲の節句)まで男児の出世と健康を願って飾られるものです。日本の節句は、5つ定められています。端午の節句の他に、人日の節句(1月7日 七草の節句)、上巳の節句(3月3日 雛の節句、桃の節句)、七夕の節句(7月7日)、重陽の節句(9月9日 菊の節句)があります。
ところが、節句のお祝いが、だんだん行われなくなってきています。こいのぼりも私が子どもの頃(約50年前)は、「屋根より高いこいのぼり、・・」という歌にあるように、庭に杉や檜や竹の棒を立てた大きなこいのぼりがあっちこっちに見られました。しかし最近は、核家族化の影響や、こいのぼりをあげる庭がないとかで、ほとんど見ることができません。マンションのベランダ用には小さなこいのぼりセットも売られていますが、これも飾っている家が少なくなってきました。節句で季節を感じ、家族が揃ってお祝いをする日本の伝統的な行事が、だんだん行われなくなっていくのは寂しい限りです。節句のお祝いは、家族の絆を深める良い機会でもあるのですが。
私には娘二人がまだ家にいますが、前述した5つの節句には、彼女たちにその意味を教え、節句料理を用意します。5月5日の端午の節句は男の子のお祝いですが、この日は、柏餅を食べ、風呂には菖蒲の葉を入れ、菖蒲湯につかりました。日本のすばらしい伝統・文化を守り、つないでいきたいものです。