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2017年03月15日 by 池永 寛明

【時間篇】 東日本大震災を忘れてはならない

      

 

「あのようにして毎日のようにかつてあった家の跡に立ちつくし、花を手向けている人たちが、津波に流されたこの街のいたるところにおられる」

と、地元の語り部に教えていただいた。20113111446分に東日本大震災 発生。そのあと高さ6mもの津波に押し流された宮城県石巻市の「かつてあった街」を訪ねたが、今もそのままの街が多い。

 

 家族の濃密な記憶が残された街に、山際にぽつんと小学校が残され、津波後の火事で焼き焦がれた箇所が数多く残る小学校のグラウンドで、子どもたちが元気に野球をしている姿を見ていると、「色即是空空即是色」という言葉が浮かんだことが思い出した。いまだ行方不明の方、仮設住宅でお住まいの方がおられ、まだ日が日本大震災の 影響は続いている。

 

知恩院に行くと、東日本大震災七回忌法会の読経があげられていた。日本人だけでなく外国方方も手を合わせておられた。ご冥福をお祈りいたします。

 

東日本大震災が発生して6年。大地震、津波、エネルギー、交通・物流、サプライチェーンの分断など複合的な大災害に地域、都市、産業に想定外の被災が起こり、復旧、復興が進められている。

 

この6年で日本のなかで広がった概念「レジリエンス」がある。元に戻す、回復するということだけではなく、様々な安定的な状態をあらかじめ想定して、それらを事前に織り込んでおくというレジリエンスという概念が社会システムに組み込まれていくようになった。BCP(業務継続計画)を作り、訓練していく企業、自治体が多くなった。

 

エネルギー分野でも、エネルギー価格と環境を考慮した従来のエネルギー選択から、リスクマネジメントが重要視されるようになった。有事にすべてのエネルギーを確保することはできない。レジリエンスの観点から有事において何が起こるのかを考え、その時に命を守るために確保しなければならない用途とは何かを特定して、その重要な用途を機能するためにエネルギーを供給し続けるためにできることを最大限に考えて何をすべきかという事前の準備、対策を進めるようになった。

 

地域においても、有事に何が起こるのかを想定して、地域の人々の命を守るために何をなすべきか、平時に有事にどう備えるのかということをより高めた地域のエネルギー戦略を再構築を進めている。エネルギー文化にレジリエンスを中心に据えて考えないといけない。

 

コミュニティでは、自助、共助、公助という考え方が広がりつつある。自らができることをする、そのうえでコミュニティ内で助けあう、それを公がサポートするという考え方だ。減災という動きだ。

 

311以降に強く出てきたのが「絆」。食卓の風景にあらわれる。平日は多忙でみんなで一緒何が食事できないが、週末は家族、友人が集まりみんなで食事をかこむ、パーティをするというスタイルが増えてきた。

 

「あのとき、こんなことがあったね。こういうことがあったね」という思い出や記憶、家族の物語が多い家族ほど危機、リスクに強いという。今日、シェールオイル、ガス採掘の実証事業をしている息子に会いに、家族で秋田の男鹿に向かっている。家族物語の一頁を綴ろうとしている。

 

(エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明)

 

〔CELフェイスブック 3月11日掲載分〕

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