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2017年03月16日 by 池永 寛明

【耕育篇】 大阪長屋物語1「コモンカフェ」

    

 

物語の始まりは、大阪市北区中崎町の「コモンカフェ」という店から。日替わり、さらに昼、夜と店主が代わる。大阪ガスの山納さんが2004年に日替わり店主という形態を考え、「コモンカフェのプロデュース」を行い、平日昼間はカフェ、夜や週末は劇場やライブハウスとして運営するという仕組みでスタートした

 

その日訪れた時間は、「ネリキッチン」という店名で、豊村恵子さんという若い女性がカフェを8年間、木曜日の昼に運営されている。スターバックスのようなシックでも、コメダ珈琲のような雰囲気のよい店でもない。むしろどこか高校や大学の文化部の部室、隠れ家のような空間で、なぜか落ち着く。店内には若い女性二人が会話を楽しむ横でドイツ人男性が考えごとをしながらパソコンを操作している。店内には一面の本棚に、懐かしい本が並び、芸術系の資料が店内に無造作に、置かれている

 

  店主の豊村さんは、そんなお客さまとともに、静かに店内に溶け込んでいる。「木曜日の昼は、わたしのネリキッチン。木曜日の昼は、ここでカフェをして、別の日は別の場所で、また違う店をだしています。若い人だけでなく、お年寄りの方も来ていただき、お客さまどおしがつながり、いろいろな仕事がここで生まれることもあるようです。わたしの別のお店もここで生まれました。とても楽しいです!」と抜群の笑顔で話してくれた。毎日昼と夜、それぞれの店主がそれぞれの思いで店を運営する仕組みは、とても素敵だ。

 

 ここに来るまで頭でイメージしていた店と違っていた。このコモンカフェは、なにかを目指し、なにかをしたく、しかしなにものになるかが分からなかった学生時代のころのような時空間につつまれる。そんな体験ができ、誰かとつながれる場、空間が、これからの地域にとって、コミュニティにとって必要ではないかと、コモンカフェに行って感じた

 

このコモンカフェの経験をきっかけとして山納洋さんの「つながるカフェコミュニテイの<場>をつくる方法」というチャーミングな本が生れた

 

(エネルギー・文化研究所所長 池永寛明

 

〔CELフェイスブック 622掲載分

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