「天下の貨は浪華にあり、浪華な貨その七分は船中にあり」─江戸時代に大坂は天下の台所と言われた。大坂は日本最大の商業都市であり、水路ネットワークを通じた物、人、情報を通じた価値と価値の交換力が大坂という都市の本質であった。
その大坂は圧倒的な経済力を基盤に、独創的な町人文化、おもてなし文化が花開いた。上方文化とは何かを考えるため、3日間の上方文化体験会に続き、上方の生活文化を考えるシンポジウムがアメリカ総領事、オランダ王国総領事などのご出席いただき、大阪くらしの今昔館で開かれた。
200年前の江戸時代の大阪船場を再現した町での商家でのおもてなしを体験したあと、100年前の住宅(主屋と長屋)と露地のある大阪の原風景を残す吉田家住宅での座敷、違い棚、掛け軸、屏風などのしつらえのなかで、お茶、書道、上方舞という大阪の生活文化を体験いただいた。上方文化が息づく建物だけでなく大阪の暮らし、生活文化が残されている雰囲気・空気につつまれた。
体験会に参加いただいた60名の外国の方との感想会を通じて導かれたキーワードは、住まい分野ではWell−organized(作り込まれたしつらえ)とSmartというコンセプトが導かれ、生活者と言う視点から、Manners(礼儀作法)とRules(規律)というコンセプトが導かれた。それが大坂文化の本質として導かれた。
上方文化の体現者によるパフォーマンスに続き、討議が行われた。
(エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明)
〔CELフェイスブック 2月5・8・10日掲載分〕