頭が痛い。なんとかならないかということで、薬屋さんに行って、頭痛薬を買って飲む。時間が経ったら、また痛くなった。そこでまた頭痛薬を飲む。これを対症療法という。
問題が発生した。そのおこっている現象を解決しようとするが、表面的に解決するものの、すぐまた問題が発生する。会社のなかでもこのようなことがよくおこる。そもそも根本的に問題が解決していない。いわゆる都度対応や対症療法となってしまっている。たとえば、「職場の人がミスをよくする」という問題がおこって、「ミスをしないようにしようと注意する」とか、「よくミスをおこす人を教育する」というように裏返し的問題解決法をよく見受ける。
そもそも日本語では、「問題」と「課題」とがあまり区別なく使われているが、英語ではtroubleとproblemとに分かれる。図のように目に見えている現象=問題(trouble)と、目に見えていない原因=課題(problem)に分かれる。つまり、今、目に見えている現象・問題点(trouble)ではなく、発生している現象・問題点(trouble)をひきおこしている課題(problem)こそ解決しなければならないことである。解決すべきターゲットは課題(problem)なのだ。
このように目に見えている事象である「問題点(trouble)」と、目に見えていない潜在的な「課題(problem)」がある。今起こっている問題点を突きつめて、その問題点をひきおこしている原因、真の問題点である「課題(problem)」をさぐり、その課題(problem)を解決してこそ真の解決となる。これこそ「根治療法」であり、私たちが取り組むべき真の問題解決手段である。今しようとしているのがtrouble対応なのか、problem対応なのかを常に意識することが大切である。
今の世の中、表面的な対症療法が目につく。目に見えている現象面に目が向きすぎて、真の原因・課題を掘りおこしていない。さらにその原因・課題のなかでも最も重要な原因・課題がある。これを「ノック・アウト・ファクター」という。これを解決しないと真の課題解決とならない。問題が発生して議論をおこなって、ホワイトボードにいっぱいのアイデアを出すというミーティングをよく見受けるが、アイデアを出して終わりということが多い。本来対応すべきノック・アウト・ファクターを浮き彫りにするためには「構造化」というステップが必要である。そのステップに踏み込まないケースが多い。
(エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明)
〔CELフェイスブック 4月13日掲載分〕