「学生たちと半年かかってつくりました」と、いただいた小冊子。
「みんなにやさしいKYOTOユニバーサルデザイン ガイドブック」。その第1弾が「河原町・烏丸・大宮・西院:四条通」編。「バリアからユニバーサルデザインへ」をコンセプトに、バリア=壁=「もの」から、障がいをもった人たち、高齢者の人たちだけでなく、子ども、青年、大人すべての人が「使い」やすい「ユニバーサルデザイン」を目指す、大学の研究会の現在進行形の第一歩である。
京都光華女子大学、京都光華女子大学短期大学部のユニバーサルデザイン研究会が、この魅力的なガイドブックを作った。元資生堂宣伝部のデザインのプロである井川啓教授が学内の学生たち10名と、授業の合い間に何度も京都を歩き、調べたものを「ピクト」にして地図上にプロットした。
みんなが使いやすいまちとはどんなまちだろう?という「ヒト」の目を通して、このガイドブックがつくられた。
「歩道の幅」や「屋根付歩道(屋根があり、雨にぬれずに歩けます)」「点字ブロック」「多機能トイレ」「AED」などのピクトが主役の手づくりガイドブック。京都市や企業にも協力をいただきながら完成させた。第1号の四条通編につづき、第2号は京都駅周辺編をつくられるという。
大学生たちは町を歩いて店の人たちと会話したり、町行く人たちやモノ・コトを“観察”して、多くのことに気づいたという。学生の視座から障がい者の視座で、高齢者の視座で、外国人の視座で観察して調べあげた。
デザインを学ぶ学生にとって人とまちが主役で、「デザイン」がすべての人にとってよりよいまちをどのようにしてつくることができるのか学ぶ機会でもあったのだろう。
地図にすべてが網羅されていないだろう。現在進行形でよりよいものに向かって動いているので、気づいた人がどんどんメンテナンスしていく「プラットフォーム」といえる。よりよいまちをつくるためには、ひとりでも多くの人が「主役」となって、このような地図づくりにいかに参画するのかが鍵ではないだろうか。
学生の視座でのまちに「ユニバーサルデザイン」を加えて、ミライロさんの「ユニバーサルマナー」を重ねあわせることによって、様々な人がひとりでも多く参画して、すべての人にとって素敵で、安心してすごせる「時空間」がうまれるのではないだろうか?小冊子だが、学生たちの半年以上の「ひたむきさ」が伝わってくる。
(エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明)
〔CELフェイスブック 7月25日掲載分〕