ビジネスで突然、ゲームのルールが変わることがある。
今までうまくいっていた方法で一所懸命に仕事をしていても、うまくいかなくなることがある。駅馬車が突然自動車に変わったように、カメラが突然スマホに置き換わったように、ビジネスの前提であるルールが突然変わることがある。
これまでと同じようにしていては勝てない。
新たなルールに適応しないと、勝てない。いかにゲームのルールの変化の意味を読み込み、分析して、勝つべきシナリオをスピーディーに考え、それにもとづき、準備して、行動しないと勝てない。
柔道も、ゲームのルールが変わることがある。
柔道の審判規定がかわる。かつて柔道のルールは、一本・技有り・有効、効果だったのが、効果・有効がなくなり、一本と技有りだけになった。技有りふたつであわせて一本というルールがなくなり、一本をとらないと勝てない。寝技もかつては30秒だったのが、25秒となり、今回20秒となった。
明らかに一本重視。攻めずに相手のミスをまつ、反則を誘うなど、およそ柔道ではないやり方で勝つという戦略は通用しなくなる。
このようにルールはかわっていく。
このルールの変更だけに目を向けるだけでなく、このルール変更の背景、考えかたなどの基本トレンド、基本潮流を読んで、勝つべきシナリオを描かないと、今までどおりでは柔道は勝てなくなる。それはビジネスと同じであり、ビジネスの鉄則である。
「組む、投げる、場外にでない。そして何よりも相手に思いを致す」が柔道の基本コード。
日本に生まれた柔道文化は、世界に広がり世界柔道文化になった。 世界に広がるなかで、世界基準のもとで、刻々とルールが変わる。白い柔道着がカラーになったことは、まさに世界基準。
日本発祥の柔道が世界に移転、伝播した。
日本発祥だから、柔道はこういうやり方でなければならない、こういうものだと、こだわっては成長しない。時代の空気にあわせて、変化していかねばならない。
もともとの基本の柔道「コード」は変えてはいけない。
しかし柔道を愛する人を増やし柔道を成長するための戦略、戦術、ルールは変えつづけなければならない。世の中の変化に、時流に適応していかなければならない。柔道「モード」は適宜変更していかなければならない。ルールの変更はこの文脈にある。
女性柔道は増えているが、男性柔道家が減少している。
この現状および将来に向け、柔道の魅力を伝えたい、かつてあった柔道の「佳さ」を取り戻すため、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、世界柔道は日本柔道が生み出した柔道「コード」に戻ろうというゲームのルールの変更が行われている。
8月26〜27日に尼崎で全日本実業柔道個人選手権大会が開催された。大阪ガスの柔道部の選手もオリンピック選手、全国レベルの選手にまじり、奮闘した。
(エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明)
〔CELフェイスブック 8月26日掲載分改〕