「世界で最も住みやすい都市」(英誌「エコノミスト」調査)として、ウィーン、メルボルンに続き、大阪が第3位に選ばれた。大阪がなぜという声もあるが、ベストテンに入っている都市に共通していることがある。「旧と新のまじりあい」だ。
「まじる」には、まじりあうものが見える「交じる」と、まじりあった元が見えなくなる「混じる」がある。
「混」という漢字は「シ(さんずい)」(水の意)と「昆(こん)」(丸くまとまる)で構成され、流れる「水」が丸くまとまっていくさまを表す。この「混」こそが都市をつくりだす重要な要素である。
「混じりあう都市」とはどんな都市なのか。
①多様な世代、人々が混じりあう ②さまざまな都市利用と目的が混じりあう ③過去・現在・未来が混じりあう ④海・山・川とビル・家・道路といった自然と人工物が混じりあう─。それらが、住む人、学ぶ人、働く人にとってのよりよい都市をつくりあげる。
そんな「混じりあう都市」こそ大阪。大阪港・淀川・堀などの水路ネットワークという強みを活かし、古代から現代にかけて、人・物・情報が大阪を拠点に往来・交易し、混じりあい融合し、新しく魅力的な価値を生みだしてきた。今も大阪は新たな価値を生みだしている。
(エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明)
〔産経新聞夕刊 9月10日掲載分〕