こんにちは。エネルギー・文化研究所(CEL)の鈴木隆です。今回は、マーケティングは三色団子で考えるとよいという話です。この“三色団子マーケティング”は筆者のオリジナルで、大学の講義以外で紹介するのは初めてです。
早速、三色団子を構成する4つの要素、すなわち3つの団子と1本の串について、順にみていきましょう。
1.最初に食べる「赤い団子」
最初に食べる赤い団子は、顧客です。ドラッカーが『マネジメント』で喝破したように、事業の目的は顧客の創造です。マーケティングも、初めに顧客ありき。顧客がなくては始まりません。
2.間をつなぐ「白い団子」
2番目の白い団子、すなわち赤い団子の顧客と緑の団子の自社の間をつなぐ団子は、「不」の解消です。「不」というのは、顧客の不満・不便・不足・不安などの不、いわゆるニーズのことです。顧客の「不」を解消することでニーズを満たします。
赤い団子の顧客と白い団子の「不」の解消との接点が「用事」です。顧客がある用事をこなすときの「不」を解消するわけです。マーケティングの教科書では顧客の属性ばかり論じられますが、クリステンセンが『ジョブ理論』で主張するように、顧客の置かれた状況である用事(ジョブ)にこそ着目しなくてはなりません。
3.手元にある「緑の団子」
3番目の手元にある「緑の団子」は、自社です。
白い団子の「不」の解消と緑の団子の自社との接点が「商品」です。顧客は商品によって「不」を解消するわけです。商品は「不」を解消する手段として提供されるものです。
自社では、商品と、価格、流通、販促と合わせて4つの打ち手を整合させます。マーケティングミックス、いわゆる4Pです。
緑の団子としては、自社と入れ替わろうとする競合他社があることも念頭に置いておかねばなりません。競合とは違う独自の売り(USP)を明確にして差別化します。
4.団子を貫く「串」
3つの団子を貫き通す串が、「顧客の心理」です。「不」をはじめとした顧客の心理を軸にすることで首尾一貫し、三色団子としてひとつにまとまります。前回の「マーケティングは役に立たない!?」で言及した「統合モデル」をレンズに用いることで、顧客の心理がよく見えるようになります。顧客の心理を踏まえ、ある用事における「不」を自社の商品を提供することによって解消するのがマーケティングなのです。
マーケティングは役に立たない!? - 連載コラム/CEL【大阪ガスネットワーク株式会社 エネルギー・文化研究所】 (og-cel.jp)
以上の内容をまとめると、図のようになります。商品以外の3Pと独自の売り(USP)を記入するとごちゃごちゃするので省略しています。
わたしが起業に携わった住宅リフォーム仲介サイト「ホームプロ」を三色団子にあてはめてみましょう。初めて住宅リフォームをする顧客は、リフォーム業者選びという用事において失敗するのではないかという不安を抱くのに対して、利用実績NO.1、厳選されたリフォーム業者のネット仲介サービスという商品を提供することで解消したというわけです。
“三色団子マーケティング”はいかがだったでしょうか。よかったらあなたも使ってみてください。