「エネルギーよもやま話」では、エネルギーに関する情報をワンポイントでわかりやすくお伝えしたいと思います。
資源貧国である日本にとって、エネルギーとは国内のどこかから自然と湧いてくるものでも、ただで配られるのでもありません。そして、エネルギーをつかえばつかうほど、地球環境になにかしら影響を与えます。
つまり、エネルギーそのものの使用量を低減する省エネルギーは、いつの時代もすべてに優先されるべきものです。
1.省エネの3段階
私見ですが、省エネの内容を分類すると、次の3段階に分けられると考えています。
1.日々の工夫(無駄をなくす)
2.設備の導入(おカネをかける)
3.システムの変革(本気で考える)
はじめに実施すべきことは、日々の工夫です。これは、無駄をなくすことで実現できます。
ご家庭内で考えてみましょう。見ていないテレビは消す。歯を磨いている時の水は止める。こうした工夫はいつでもできますし、おカネもかかりません。
省エネの効果はとても小さいですが、常日頃の意識を高め、次の段階の設備導入にかけたおカネの価値を高める役目も果たします。いくら高効率照明を採用しても、明かりを毎晩消し忘れていたら、その効果は限定的なものになります。
30年ほど昔になりますが、元宇宙飛行士の毛利衛さんがおっしゃられていました。省エネは、次の3点が重要だと。
『無駄にしない』
『ちょっと我慢する』
『時々ちゃんと考える』
この言葉は、日々実践するための省エネをあらわした至言だと思います。
この「無駄をなくす」に関する具体的な事例は、次回のコラムでご紹介したいと思います。
2.本気の省エネとは、おカネがかかるもの
省エネの2段階目は、省エネ設備を導入することです。これには、おカネがかかります。
ご家庭で考えてみましょう。蛍光灯からLED照明に変える、省エネ性能に優れた空調機に変える、コージェネレーション設備を導入するなど、どれも高額の費用が必要になります。
そのため、その設備が古くなって更新するタイミングで高効率設備を導入するケースが多くなります。一旦設備を導入すると10年程度はつかい続けますので、更新する際はできる限り高効率設備に変えていくべきでしょう。
省エネの最後の段階は、システムを抜本的に変革することです。
ご家庭を例に考えてみますと、今まで夫婦二人と小さな子供という核家族で暮らしていたが、祖父母と同居して三世代居住にしよう! というくらいの抜本的な変化に相当します。さまざまな場面で効率化が図られ、相当量の無駄が削減できるようになります。
もちろん、どのようなケースにおいても、ここまで変革することが理想ではありますが、さまざまな諸条件が絡み合ってきますので、本気で考えなければ実現は難しいでしょう。
このような本気の省エネにも、多額のおカネがかかるものです。省エネの効果だけを金額換算して、そこにかかる設備費用と比較したら、多くの場合で費用対効果が見合わなくなってしまいます。
三世代居住を考えても、確かに光熱費の合計は今までより下がるでしょう。しかし、そうした省エネのメリットだけでは、引っ越しや改装にかかる費用までは到底まかない切れません。
たとえば、窓の放熱を削減するために二重窓に改造しました。これだって、省エネ効果だけでは、改造費を回収するには10年以上はかかることでしょう。補助金の活用やDIYなどコストダウンの工夫が必要になってきます。
しかし、三世代居住にはプライスレスの効果が生じます。子供の教育にだって良い面が出てくることでしょう。二重窓だって、寒さを緩和する快適性が得られます。
このように、エネルギーの削減という直接的な金額評価だけではない、「なにか」ほかの価値を付加させる必要があります。総合的に考え実行することこそが、省エネを大きく促進させる現実的な策となるのかもしれませんね。
このコラムでは、エネルギーに関するさまざまなトリビア情報を、シリーズでお伝えしたいと考えています。次回をお楽しみに。