生活のエネルギーを“見える化”してみませんか?
「エネルギーよもやま話」では、エネルギーに関する情報をワンポイントでわかりやすくお伝えしたいと思います。
ご自宅のエネルギーコストを削減しようと思っても、なにから手をつければ良いのかさっぱりわかりませんよね。そんな時は、はじめにエネルギーの“見える化”をしてみませんか?
1.テレビの消費電力を確認してみよう!
エネルギーの“見える化”といっても、特別な装置を設置したり改造工事をおこなったりする必要はありません。まずは、できるところから想定してみればいいんです。
はじめに押さえたいのが、家電の消費電力です。
たとえば、電子レンジは500W(ワット)程度、ドライヤは1,000W程度ありますが、使用時間が短いので今回は省きます。しかし、できれば取扱説明書に記載されている仕様で消費電力を確認し、数字に対する感覚を養っておいてください。
また、IHヒータのように火力調節できるものでは実際の電力量が推定できないので、一定の電力を消費し、かつ長時間使用する家電製品が望ましいです。その代表として、テレビが挙げられます。
わが家では、画面の小さなテレビを置いていたのですが、衛星放送を契約したタイミングで、家電量販店で展示品処分されていた大画面のテレビに買い替えました。
新しいテレビを設置し、取扱説明書の仕様欄を見てびっくり!
我が家のテレビの消費電力 出典)東芝取説より抜粋
大画面と言っても50型と呼ばれる横幅1メートル程度のもので、家電量販店に展示されている超大画面のテレビの中では小さい部類です。それでも、消費電力が129W(カタログの真ん中あたりに表記)もあるようなのです。
電球や蛍光灯、そしてLEDにもワット数が記載されていますので、よくつかう場所の消費電力を把握しておきましょう。ホットカーペットや電熱タイプの暖房器具も一定の電力を消費しますので、カタログや取説で確認しておきます。
これだけで「〇Wの器具を△時間使用している」ことがおおよそわかります。
2.家全体の電力量を把握してみよう!
つぎに、家全体の電力量の確認です。
近年、家庭に設置されている電力メーターがスマートメーターに替わってきています。スマートメーターだと時間ごとの電力消費が計測されているため、電力会社のサービスによっては、インターネットを介して自宅の電力消費実績が閲覧できます。
我が家の電力使用実態 出典)マイ大阪ガス
上のグラフは、我が家のある日の電力データです。この日は私が在宅勤務をしていて、大学生の息子が半日外出しただけの単純な生活パターンの日でした。
横軸は時間です。夜中の1時から5時までは、ほぼ0.2kWhで一定しています。二人とも寝静まった状態です。門灯をつけていなかったので、冷蔵庫と金魚の水槽の循環ポンプくらいしか電気をつかっておりません。
つまり、昼間になんら活動をしていなくても、0.2kWh×24時間の電力が毎日消費されていることになります。
私は、朝6時過ぎに起床。電灯とテレビのニュースをつけ、朝ごはんの準備に電子レンジを利用します。そういった生活パターンがキチンと反映されていますね。
8時になると、テレワークを開始します。テレビを消してパソコンの電源を入れた分の電力が消費されています。
昼休みの12時にはテレビのニュースを見たのでしょうか、電力消費があがっています。9時に息子が起きてきて外出し、15時に帰宅。なにやら電気を利用したようです。
そうして、テレワークを終了した夕方の17時からは、テレビはつけっぱなしの状態だったことがわかります。
私は23時に床に就きましたが、息子は22時ごろから自室でパソコンでも見ていたのでしょう。前日の夜間データからも推定するに、おそらく夜中の1時まで起きていたと思われます。
こうしてよく観察してみると、わが家のこの日の電力使用状況では、テレビのつけっぱなしが最大の無駄遣いだったことがわかります。
同じように、空調機をつけた日のグラフと比較すれば、空調機の電力消費が推定できるようになります。
わが家の場合では、空調機をつけた1時間半ほど最大電力で動き、その後はわずかな電力消費で安定します。つまり、数時間の買い物に行く程度の外出であれば、空調機はつけっぱなしのほうが良いことになります。一方で、半日以上の外出をする場合は、できれば消してから外出すべきです。
こうした状況は、家の断熱構造や部屋の広さと空調機の能力との関係が大きく左右しますので、一概には言えませんが、電力データを把握することはとても大事です。
3.ガスや水道の使用量も確認してみよう!
前章では、電気の利用実態について確認してみました。一方でガスについては、推定は容易ではありません。火力が一定ではなく、気温や水温にも消費量が左右されるためです。
しかし、最近の給湯機には電源をON-OFFする間のガス消費量が表示されるものもありますので、1回のお風呂でどのくらいのガスを消費しているのか、確認することができます。
また、エネルギーとは違いますが、水の消費量は比較的、把握しやすいです。
一般的なトイレは大で8?、小で6?の水を使用します。昔ながらのタイプのトイレでは、1回流すたびに25?もの水を消費するものもあります。一方で最新の節水トイレでは、大で5?以下となっていますので、取扱説明書の仕様を確認してみてください。
一般的なシャワーは、1分間に水を12?つかいます。節水タイプのシャワーヘッドにすると、水の使用量が半分程度になるものもあります。もちろん、水道だけでなくガスや灯油といった加熱エネルギーの使用量も削減できます。
お風呂の浴槽は200?程度貯まりますし、縦型式洗濯機では洗濯物1?当たり10?程度使用します。ただし、これらもメーカーや製品によって大きく変わりますので、細かくは仕様を確認する必要がありますが、こうした数値を活用すれば、回数を把握するだけで使用量を大雑把に知ることができます。
このように、どの設備でどのくらいの電気や水、あるいはガスや灯油をつかっているのかを推定でも把握しておくことは、省エネの第一歩となるでしょう。
このコラムでは、エネルギーに関するさまざまなトリビア情報を、シリーズでお伝えしたいと考えています。次回をお楽しみに。