遠座 俊明
2017年04月28日
奈良県明日香村にある関西大学飛鳥文化研究所にて4/22行われた建築設備・都市環境系神戸大学、摂南大学、関西大学合同ゼミ合宿に参加した。
建築・環境系の元企業人ら社会人も5名が参加し、大学院生と研究室に配属が決まった4回生計約30名に対し、職業や社会人になるにあたっての心構えなどの話をした。
私は建築系学生の視点から、「少子高齢化する今後の日本社会とライフ・キャリアデザインを考える」と題して、単身世帯の増加やダブルケア問題など少子高齢社会の今後について、建設業界の人手不足・高齢化の現状とICTを活かした対応例について話した後、国が高齢者のケアについて地域包括ケア=施設から在宅(地域)で行う施策に大転換し、物理的な住宅建築の重要性や地域での互助など社会基盤づくりが必要になる等の話を行った。
超高齢社会の住宅建築 高齢者の生活が不活発にならないような住宅づくりが求められている。 全国の交通事故死者が4千人を下回ったのに対し、住宅内で不慮の事故死は多く、特に寒い浴室周りでの温度変化による血圧変化で倒れて亡くなっている人の数は2万人にのぼっている。亡くならずとも脳卒中などの後遺症で麻痺や認知症に進むケースもあり、介護負担を増大させている。 認知症など要介護状態にならないようにするためには、できるだけ生活が活動的になることが推奨されているが、1015人の12年間にわたる追跡調査では、冬暖かい家(18℃以上)と寒い家に住む高齢者の要介護状態になるまでの期間が4年以上違ったという。 また、完全なバリアフリーではなく、家内に明確な段差があり適度の負荷がある住宅の方が望ましい。 要介護状態になることで介護保険や税金も含めると一人年200万円近くが費やされる。本人や家族の幸せだけでなく国や地方自治体の財政面でも住宅建築の役割は非常に大きい。 |
そのあとの夜遅くまで及んだ学生との交流会では、きつい・休みが取れないと言われる建設業界ではあるが、自分は現場に出てモノづくりをしたいとの学生が少なからず居ることがわかり、頼もしく、また心強く感じられた。