加茂 みどり
2018年09月12日
「中京・風の舎(ナカギョウ・カゼノヤ)」は、実験集合住宅NEXT21での居住実験を含むこれまでの研究成果をふまえて、リフォームを行ったマンション住戸です。
【設計】 三澤文子((有)エムズ建築設計事務所)+
加茂みどり(大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所 主席研究員)
【施工】 (株)夏見工務店
【「中京・風の舎」でめざしたこと】
母親と、2人の子(中学生と小学生)の住まい。子の成長に伴い、収納空間を確保しながら個室を設け、集合住宅特有の風通しの悪さを解消し、住戸の温熱環境の向上を目指しました。
間口いっぱいの玄関土間を設け、各個室に直接出入りでき、子供が身の廻りのことを自分で行い自立することを促しました。東西は個室が「続き間」で並び、中央廊下は「図書室」とし、研究者である母の書籍が両脇に並びます。「摺り上げ下げ障子」により3本の風の道ができ、視線を気にせず爽やかな風を通すことが可能となりました。
リビングダイニングはキッチンとつながり、大きなテーブルを囲んでの交流ができます。母の書斎を囲む壁は撤去可能とし、子ども独立後はLD空間を拡張可能としました。絵画や彫刻など、先代から引き継いだ物に居場所を確保しました。中間領域(土間)を設けることや内窓と障子による断熱性能の向上、漆床や柱・差し鴨居の木組みという伝統的手法の活用、共用廊下に対する障子の温かみのある風情など、日本の居住文化を承継し、気候風土に合った住空間が、現代の集合住宅に実現できることを示しました。
皆様のご指導に御礼申し上げます。
土間を確保し、ソトからの訪問者を一旦受け止める場とする/風の抜ける家/
つながりを育む家/木に囲まれて暮らす/
先代から引き継いだものを次世代へ(住み継ぐ家とモノ) /子どもの自立に向けた準備/
子どもを育てやすい家/健康に住まう家/環境にやさしい家
*住まいのリフォームコンクールは、昭和60年より毎年開催され、今年で第35回を迎え、応募総数は474件でした。(主催:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理センター、後援:国土交通省等)住まいのリフォームを対象としたコンクールとしては、国内で最も歴史のある賞です。
*「中京・風の舎」は、下記コラムでもご紹介しておりますので、是非ご覧くださいませ。
コラム「これからの住まいを考える」
(1)中京・風の舎(ナカギョウ・カゼノヤ)」が竣工しました
http://www.og-cel.jp/column/1268771_15959.html
(2)風の抜ける家―外とつながる暮らし―
http://www.og-cel.jp/column/1270029_15959.html
(3)ウチであり、ソトでもあり ―領域の重なるところ―
http://www.og-cel.jp/column/1271032_15959.html