弘本 由香里
2021年10月08日上町台地 今昔タイムズ vol.17 2021年秋・冬号
「“相聞(あひぎこえ)”の台地を旅する 言葉の力で呼び覚ます歌枕のコスモロジー」
コロナ禍の下、二回目の秋を迎え「上町台地 今昔タイムズ」最新号(vol.17)では、古来、人々の心を惹きつけてやまないコスモロジーを宿してきた上町台地から、和歌・短歌を通して、絶えることなく時代に寄り添ってきた、有名無形の言葉と魂の連なりに思いを馳せ、新たな視野を開くべく、編集に取り組みました。
テーマは「“相聞(あひぎこえ)”の台地を旅する 言葉の力で呼び覚ます歌枕のコスモロジー」。上町台地の秋の風物の一つでもあった・菊花をめぐる、近代の歌人・与謝野鉄幹・晶子の歌を入り口に、その背後に広がる万葉集以来の豊かな歌枕のコスモロジーに触れるとともに、現代のまちなかで行われている和歌・短歌にまつわる魅力に富んだ営みをご紹介。他者を想う心や日常の機微に触れ、新しい出会いの場を涵養する、上町台地の風土に迫っています。
これからの地域・社会のウェルビーイングと文化のありようを考えるうえでも、示唆に富むものと思います。本号が、閉塞しがちな日々の中にあって、心を柔らかく解き放ち、人と暮らしとまちの対話を、豊かに耕す機会につながっていくことを願っています。
なお、本号の一面では、今年2月に彼岸に旅立たれた、書誌学者の肥田晧三先生への追悼と尽きない感謝の想いを込めて、先生にご教示いただいた、二つのトピック(鉄幹と晶子の歌、西行の歌に関して)を織り込ませていただいております。合掌。
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