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Home > CELプロジェクト > 炎と食II 日本人の食生活と火 >炎と食II 第1章 日本の食文化の歴史

炎と食II

Flame and Food Culture II

炎と食II 日本人の食生活と火

山下 満智子

2016年02月01日

炎と食II 第1章 日本の食文化の歴史

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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米食と日本人

 

 

人間は料理し共食する動物

 

文化を持った人間を他の動物と区別する言い方がいろいろとある。例えば「人間は言葉を使う動物である」、また「人間は道具をつくり、使う動物である」ともいう。私はこのほかに、人間の食の文化における特徴から、次の2つの言い方を加えたいと思う。
まず「人間は料理をする動物である」。もちろん「料理」の定義は文化によって異なるが、特に火を使って料理をするのは、動物には一切ないもので、非常に人間らしい行動といえる。
もうひとつは「人間は共食をする動物である」。動物でも、親が子に食べさせることはあるが、成長すると自分で餌を探し、見つけた者が食べるのが原則。一方、人間はどの民族でも分かち合って食べるのが一般的で、その基本的な集団が家族だといえる。人間の家族は食と性をめぐって成立した集団で、女性には妊娠期間や子育てがあり、狩りをするのは男たちの仕事だった。仕留めた獲物を持ち帰って、それを家族に食べさせる。つまり分かち合いながら食べる。そうなると、強い者が独り占めしないように分配のルールが生まれ、それが後の食事作法の出発点になったのだろう。

 

世界的視野からの料理圏の捉え方

 

その後、新石器時代から人間は農耕と牧畜により食料の生産を始める。さらに時代が過ぎ、食の視点からは、やがていくつかの料理文明圏というようなものが形成される。それがヨーロッパ、ペルシャ・アラブ、インド、中国の4つで、他の地域にも大きな影響を与えた。
ペルシャ・アラブ料理圏は、西アジア、古代ペルシャに始まって、その上にイスラムのアラブ文化、そこにトルコ料理が重なる。インド料理圏は、カレーに象徴されるような料理。東南アジアには、インド料理がさまざまなスパイスを使うことなどでまず影響を与え、近世になると華僑が進出し、中国料理圏の象徴である箸を使う地域も広がった。
このとき、日本を取り巻くアジア全体の様相を大まかに捉えておくとこうなる。まず、北のシベリアは寒冷で農業ができない。昔は狩猟・採集の生活。モンゴルから中央アジア、西アジア一帯は乾燥気候で砂漠も多く、牧畜が主であった。少し南になると、インドの北方は麦作と粟や黍などの雑穀で、ベンガル平野や南部に行くと稲作地帯。中国は、東北や華北は雑穀と麦作で、南の揚子江流域などは稲作。東南アジアも稲作地帯。朝鮮半島では、北部は伝統的には雑穀で、南部は稲作。

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