住田 昌二
2009年03月19日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2009年03月19日 |
住田 昌二 |
住まい・生活 |
住宅 |
情報誌CEL (Vol.88) |
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はじめに
20世紀文明の綻びは、「失われた年代」を通してあちこちに見られていたが、このたび遭遇した「大不況」は、大量消費型生活様式の根底からの見直しを否応なく迫っている。
戦後の住まいは、公共住宅の供給に先導されて大きな変貌を遂げた。その成果は大きいが、今日、その供給システムが疲弊し、時代の動きに合わなくなっているのも確かだ。住まいの近未来像を模索しつつ、これからの住宅団地はどう再生すべきか考えてみたい。
住宅団地づくりの帰結
公営・公団・公庫を3本柱とする公共住宅供給システムは、高度成長期の未曾有の住宅需要に応えるべくスタートし、巨大な住宅ストックを紡ぎ出した。そのストックは、2005年の時点で、公営住宅219万戸、UR賃貸住宅(旧・公団住宅)77万戸、公社住宅14万戸に、その他の政府施策住宅を加えて約340万戸に及び、わが国の賃貸住宅全体の約20%を占めるに至っている。
これら住宅は、「不燃化」、「土地利用の高度化」の掛け声のもと、一団の集合住宅が、一定の環境水準を備えた「団地形式」をとっているところに特徴がある。日本の団地建設を常にリードしてきたUR賃貸住宅について、建設年代別に住宅団地を比較すると表1とな
る。大量供給が集中した昭和40年代では、1団地当たりの戸数が800戸台に跳ね上がっているのが注目される。