巽 和夫
2008年10月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2008年10月01日 |
巽 和夫 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.86) |
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わが国の住宅の寿命が国際的にみて非常に短いことはよく知られている。寿命を滅失住宅の平均築後年数で比較してみると、アメリカの五五年、イギリスの七七年に対して、日本はわずか三〇年でしかない。第二次大戦後、深刻な住宅不足、住宅難を克服するために狭小で低質な住宅を大量に急いで建設せざるをえなかった事情が大きく作用して、いわゆる”スクラップ&ビルド“の体制が形成されてきた。これは、国民の住居費負担を高めているとともに、膨大な資源を消費し廃棄物を排出して環境破壊をもたらしている。総住宅戸数が総世帯数を大幅に上回っている今日の住宅社会の課題は、良質で長寿命の住宅を建設して入念な維持管理のもとに長期に利用する、というストック重視の方向に導くことである。
このような趣旨と目的をもって、今年二つの施策が取り組まれた。一つは「超長期住宅先導的モデル事業」である。これは、ストック社会における住宅のあり方を具体のモデルの形で広く国民に提示して、技術の進展に役立てるとともに、その普及啓発を図ることを意図している。もう一つは「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の策定で、長期にわたって良好な状態で使用できるような構造や設備を持った優良な住宅を認定し、その普及を図るための法律である。これらの二つの施策は関連しており、”二〇〇年住宅“などと呼ばれている。
法律の方は、法案が国会に既に上程されているものの、八月半ば現在、まだ通過していない。