米村 洋一
2008年03月21日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
備考 |
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2008年03月21日 |
米村 洋一 |
住まい・生活 |
都市システム・構造 |
情報誌CEL (Vol.84) |
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運河とまちの栄枯盛衰
運河と言えば日本では産業のためのインフラというイメージが強い。
東京の京浜運河などはその典型で、運河沿いには倉庫が並び、物流のインフラとして活躍してきた歴史がある。
もともと江戸時代以前は、陸路より海路、水路がモノや人の長距離、大量移動の主要なインフラであり、都市は海辺や川辺に沿って発達してきた。もちろん当時は堀割や川を使った人の往来も盛んで、屋形船で風流を楽しむ風景も江戸の風物であったようだ。
もちろん大阪も天下の台所として、国中の物産が船で運びこまれていた。
これに対して現代の運河はと言えば、東京湾の埋め立てが進んでくるにつれ、湾に面したウォーターフロントは、ずっと先のほうに移ってしまい、内陸の物流は陸上交通に依存するようになって、産業の動脈として活躍していた元の運河は単なるどぶ川のような様相を呈してしまうことになった。
運河は街の賑わいどころか、倉庫が立ち並び、人通りがほとんど無い、都市の中でもっとも寂しい場所になってしまったわけである。
ところが最近になって、ちょっと事情が変わってきた。
都心部より地価が安く、比較的地権者がまとまっている臨海部は新しい開発ゾーンとして注目されるようになってきた。特に東京では臨海部に湾岸高速道路、ゆりかもめや地下鉄などの交通インフラが整備されアクセスも良くなってきたことから、オフィスや商業施設、さらには居住にも適した条件をもつようになってきており、最近では次々と立派なオフィスビルやショッピングセンター、高層マンションが建ち並び始めている。