古田 陽久
2006年03月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2006年03月25日 |
古田 陽久 |
都市・コミュニティ |
地域活性化 |
情報誌CEL (Vol.76) |
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時の話題 Commentary
世界遺産とまちづくり
古田 陽久 Written by Haruhisa Furuta
はじめに
ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産は、現在、世界的に顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)を有する遺跡、建造物群、モニュメントなどの文化遺産が六二八件、同じく世界的に顕著な普遍的価値を有する地形・地質、生態系、自然景観、生物多様性などの自然遺産が一六〇件、文化遺産と自然遺産の両方の登録基準を満たす複合遺産が二四件の合計八一二件(一三七か国)である。
日本の世界遺産
日本の世界遺産は、「知床」、「白神山地」、「屋久島」の三件の自然遺産、「日光の社寺」、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」、「古都京都の文化財」、「法隆寺地域の仏教建造物」、「古都奈良の文化財」、「紀伊山地の霊場と参詣道」、「姫路城」、「原爆ドーム」、「厳島神社」、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一〇件の文化遺産の合計一三件。さらにこれから、五〜一〇年以内に世界遺産に登録する候補物件としての暫定リストには、現在、「古都鎌倉の寺院・神社ほか」、「彦根城」、「平泉の文化遺産」、「石見銀山遺跡とその文化的景観」の四物件が登録されている。
また、今後暫定リスト入り、そして正式な世界遺産登録をめざしているのは、亜熱帯生態系や珊瑚礁生態系、海中景観を誇るトカラ列島以南の南西海域に展開する「琉球諸島」と、東洋のガラパゴスにもたとえられ特異な島嶼生態系を誇る「小笠原諸島」である。
新しい地域づくりやまちづくりの試み
わが町、わが地域の誇れる自然環境や文化財を世界遺産にするのをめざす世界遺産登録運動は、検討段階のものも含めると全国で約五〇近くあり、その活動は、年々、活発化している。そのねらいや思惑にも違いはあるが、世界遺産になる為の登録基準などの登録要件について、国際的な評価基準にあてはめて、その真正性や完全性を検証してみることは、結果はどうであれ、決して無駄な作業にはならないと思う。
世界遺産になる為の登録要件としては、第一に、世界的に顕著な普遍的価値を有し、同分野を代表する比類ないものかどうか。第二に、世界遺産の登録基準(文化遺産には六つ、自然遺産には四つの、全部で十の基準)を一つ以上、満たしていなければならない。第三に、恒久的な保護管理措置が、法律的にも、また、計画的にも担保されているかどうかである。