小澤 紀美子
2004年09月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
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備考 |
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2004年09月30日 |
小澤 紀美子 |
エネルギー・環境 |
環境対応 |
情報誌CEL (Vol.70) |
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戦後、日本人は豊かな生活を求め、大量生産・大量消費・大量廃棄型の生活様式を疑問もなくつくりあげてきた。そうした過程で、とめどもなくモノの消費に偏ってつくりだされた欲望の呪縛の中で、モノに囲まれた生活が豊かであると思いこんではいないだろうか。
今日の環境問題は、私たちが便利で豊かな生活を追い求めて、資源やエネルギーを大量に消費する生活様式をつくりあげてきたことによる。その豊かさや便利さを当たり前のように感じて、さらに便利さや豊かさを享受しようとしている。こうした高度な消費生活や活発な生産活動が、地球上の多くの貴重な資源やエネルギーを消費し、多くの不要物や汚染物を排出し、人類の生存基盤である環境に多大な負荷を与え、さまざまな環境問題を引き起こしている。そのことに気づかない人も多く、気づいていても実際の行動が伴っていない場合も多くみられる。
二一世紀は、環境や資源の制約を前提として持続可能な社会づくりをめざすことが求められている。二〇世紀の文明は、物質的豊かさと引き換えに、膨大なエネルギーや資源を浪費し、「外なる自然」破壊としての地球環境問題を引き起こした。そうした地球環境の悪化は、次世代にツケを残しているだけでなく、「内なる自然」破壊としての人間性の解体をももたらしたのではないだろうか。日本の近代化は、この二つの自然破壊に拍車をかけたといえるであろう。
大量生産、大量消費、大量廃棄のライフスタイルが豊かさの象徴であった時代は終わったのである。