豊田 尚吾
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2006年04月07日 |
豊田 尚吾
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
WEB |
21世紀政策研究所「地域活性化ニュース・ブログ」 |
神戸空港開港を期に考える、訪問者へのホスピタリティと地域ブランディング
神戸空港が開港(2006年2月16日)してから約1ヶ月が過ぎた。航空行政という視点からは、大阪空港、関西国際空港とあわせ、関西圏での三空港体制に整合性があるのかといった、様々な問題点が指摘されている。航空ネットワークのあるべき姿ということに関しては、神戸空港だけでなく、3月に開港した新北九州空港や2009年開港予定の静岡空港などの新空港、ひいては既存の空港全体も含めて考えるべき課題である。言うまでもなく、採算性や国際競争戦略というのは重要な論点である。ただ、空港は地域のインフラであり、供給側の課題以外にも様々な切り口がある。地域の活性化という観点で言えば、利用者にとっての新空港という見方は不可欠であろう。そこで、地域と地域の交流拠点としての空港、利用する消費者の視点からの空港を論じるために、実際に神戸空港を利用してみた。結論から言えば、ビジネス上の利便性といったメリットはいくつか期待できる。一方で、地域の活性化の視点からは、市民の協力を背景としたホスピタリティの向上による地域ブランディングの取組が必要だと感じた。これは神戸のみならず、日本中の全ての地域における課題でもあろう。神戸という、比較的良好なイメージを持つこの地で、地域ブランディングが成功すれば、他地域にとっても良い参考になると期待する。
実際に神戸空港を利用した上での率直な印象をいくつか挙げてみよう。ビジネス利用という観点ではいくつかのメリットを享受することが期待できる。まず、神戸の主要な駅である三宮から非常に近く、約18分で到着する。アクセスに用いるポートライナーも5分間隔程度で運行されているので利便性は高い。大阪駅、京都駅を含めた三空港への所要時間と費用は表の通りである。やはり大阪空港の相対的優位性は突出しているが、神戸空港も捨てたものではなく、アクセスの費用面では関空をしのいでいる。コストという意味では安い運賃にも魅力がある。スカイマークエアラインズを利用すれば、羽田空港(1日7往復)まで片道1万円であり、新幹線を利用するより安い。滅多にとれはしないが早割(スカイバーゲン)だと片道5000円になる。旅行会社のパックを利用すればかなり安い旅行や出張が可能だ。