豊田 尚吾
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2003年02月19日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
ガスエネルギー新聞2003年2月19日掲載 |
規制緩和、環境問題の圧力など、ガス事業者のみならず、エネルギー事業者は大きな経営環境の変化に直面しています。一言で言えば、従来の公益事業的発想では時代に追いつけなくなってしまい、今後は普通のサービス業としての振る舞いが求められることになります。それをもう少し象徴的な言い方で表現するならば、供給重視から需要重視へということになるのではないでしょうか。
もちろん、エネルギー事業者が、今までお客さまをないがしろにしていた訳ではありません。しかし、少なくともエネルギーそのものを家庭に販売する面に関しては、総括原価方式や限られた競争環境の下、お客さまとは何かを知ろうというインセンティブは十分なものではなかったように思います。逆にいえば、今後、「お客さまを知る」という努力が一層重要になるだろう、これがこの連載における最大の問題意識です。
第1回は身近なトピックとして、家計簿の話から始めましょう。身近といっても日本全国で家計簿をつけているのは、全家庭の3分の1程度だそうです。その上、家計簿は、主婦がつけるものというイメージが一般的で、余り馴染みはないかもしれません。ところが最近出版された「家庭決算書」(依田宣夫著・プレジデント社)では、(夫でも妻でもいいのですが)「家庭経営者」たる人物が責任を持って、しかも複式簿記方式で家計簿を管理することを提唱しています。ご承知の通り、普通の家計簿といえば、支出と費目のみを記帳する、いわゆる「単式簿記」方式がほとんどです。ではなぜ、複式簿記方式でなければならないのか。また、家庭経営者とは何を指しているのでしょうか。