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情報誌CEL

奥本 大三郎、当麻 潔、志波 徹

2010年03月26日

【鼎談】いのちと暮らしを支える生命のにぎわい

作成年月日

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研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2010年03月26日

奥本 大三郎、当麻 潔、志波 徹

エネルギー・環境
住まい・生活

地球環境
その他

情報誌CEL (Vol.92)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 画一的な都市化の進展の中で、これまで次々と失われてきた身近な自然。その価値を再び見直しながら、日々の暮らしの視点から生物多様性の大切さを考えたい。
 無類の虫好きとして知られ、現在『ファーブル昆虫記』の全訳に取り組むフランス文学者・奥本大三郎氏は、機会あるごとに身近な自然の再生を訴えている。今回、自宅を改築して設立された「虫の詩人の館」(東京・千駄木)を訪問し、人間が暮らしの中で生命のにぎわいを感じながら暮らすことの意味や、生物多様性の保全につながる生活のあり方などについてお話をうかがった。

−生きものとのふれあいから得られる大きな恵み−

当麻
 本誌の今回の特集では、私たちの日々の暮らしを支える生きものという視点から「生物多様性」を考えてみたいと思います。今年は国連が定める生物多様性年で、10月には名古屋で生物多様性条約のCOP10が開催されるのですが、生物多様性という言葉についても、国内的にはまだそれほど認知されていないというのが現状です。まず、私たちは生物多様性をどのように理解していけばいいのかということから、お話しいただけたらと思います。

奥本
 生物多様性を考える際に、まず外国と日本の農地利用を比較してみますと、たとえば西洋型の牧畜では一面が牧草地ですし、コムギ、トウモロコシ、ブドウ栽培などでも丘陵一面を畑にしています。一見美しいけれど、ああした画一的な農業の形態は、日本の里山や水田に比べて自然をより搾取するものだとも言えます。その点では、水をたくさん溜める水田や循環していく日本の里山には生物が多様に生存しています。ところが、日本でも今はそうした里山がない。ごくあたりまえだった雑木林も身近なところになくなってきています。

当麻
 その意味では、里山がもつ価値をもう一度見直す必要がありますね。

奥本
 農業とうまく調和していた時代の自然ですね。薪炭林というのがあって、クヌギやコナラを植えて、薪を伐って炭を焼いた。いいサイクルだったんですね。関東でも、源平合戦の時代の武蔵野は、もともと一面の茅ガ原だったそうです。そこに落葉性の広葉樹を植え、風景を変えていった。近世の日本人の生活は里山にあったということです。小学唱歌に歌われる世界。

志波
 里山の循環が途切れてしまっているのが現状ですね。今は農地も整備されていますし、道路はもちろん舗装され、あちこちコンクリートで固めることが多くなってきて、生きものも棲みにくいですね。

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