太田 順一
2012年02月14日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2012年02月14日 |
太田 順一 |
エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.99) |
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「道の駅かなん」(大阪府南河内郡河南町)は「なにわの伝統野菜」が買える農産物の直売所として知られる。管理運営するのは「農事組合法人かなん」。こだわりを持った野菜づくりと直売を志向する農家が2004年、自主的に組織したもので、組合員は121人。生産者と消費者のコミュニケーションを大事にした販売で年々、集客力を高めていて、昨年の売り上げは3億4千万円超。優良な地産地消活動の団体として、2007年には農水省から大臣賞が贈られた。
「農事組合法人かなん」の専務理事であり「道の駅かなん」の駅長である阪上勝彦さん(69)の畑に行くと、あちこちの畝から大根を引っこ抜いて、ずらり並べて見せてくれた。驚いた。大根の身は白いものと思っていたのに、鮮やかな紅色、薄紫、緑色、それに真っ黒なものまである……。
包丁で薄く切ったそれぞれの身を味見するよう勧められた。超辛からさっぱりしたものまでいろいろで、大根ひとつとってみても、その多様で豊かなありようを知らされる。あまりの辛さに顔をしかめると、にんまりして阪上さんはいった。
「消費者に農業のことを知ってもらうには、畑に来てもらうのが一番です。生産の現場を見て何か感じてもらえたら、野菜の買い方が変わって売り上げにもつながりますからね。私ら農家も消費者に向き合って"営業"をしないと」
「道の駅かなん」では季節ごとのイベントが盛んだ。夏と冬、二度行われる「なにわの伝統野菜フェア」。河南町の特産品をアピールする6月の「リリーフェスタ」、8月の「いちじく展示品評会」などなど。毎週土日曜・祝日にひらかれる「ふれあい朝市」には農家である「農事組合法人かなん」の組合員が交替で売り場に立って、客とのコミュニケーションをはかりニーズをつかむ。
"営業"のおかげだろう、客のなかからはボランティアで農作業を手伝ってくれる「菜園クラブ」(70人)や「なにわ伝統野菜研究会」(50人)が生まれた。
「農業が元気になれば、雑草のぼうぼう生えた畑なんてなくなるし、地域社会も活性化するんですよ」