小笠原 悦子
2013年03月01日作成年月日 |
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2013年03月01日 |
小笠原 悦子 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.103) |
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―新しいマーケットとしての女性スポーツ―
2012年12月8・9日、第5回日本スポーツマネジメント学会が仙台で開催された。学会では、「なでしこジャパン」代表戦における観戦者調査の結果が発表された。これまで、Jリーグを長年研究してきた男性研究者たちが、「なでしこジャパン」という女性スポーツの象徴的なテーマを取り上げ、初めて発表を行っただけに、新しい風を感じた。
また、地元仙台では2012年のJ1で2位となった「ベガルタ仙台」に、同年から「ベガルタ仙台レディース」が設立された。そしてトップリーグの「なでしこリーグ」の下位組織である「チャレンジリーグ」からスタートし、優勝、2年目から「なでしこリーグ」への昇格を決めた。当学会のシンポジストとして発表したベガルタ仙台の白幡洋一社長は、
「ベガルタ仙台レディース」の存在はチーム経営にとっては、女性スポーツの振興というよりも、むしろ新しいマーケットの拡大であるとの認識を明らかとした。
2011年の「なでしこジャパン」のFIFA女子ワールドカップ優勝を契機とし、その後の社会現象から、結果的に日本の潜在的なマーケット(まだ未開発のスポーツにおける女性)に気づくこととなったと思われる。
―文部科学省の新たな女性スポーツ支援のための施策―
文部科学省は、2012年3月に「スポーツ基本計画」を発表した。この基本計画には、女性とスポーツに関する記載が明確に盛り込まれている。「オリンピック競技大会において、女性が参加できる競技数(メダル数)が増加しており、特に、近年の夏季大会で我が国の女性アスリートのメダル獲得率は男性アスリートより高い。こうした分野における競技力の向上は、重要な課題となってきているが、女性アスリートに対する効果的な支援のあり方についてはいまだ研究・開発の途上にある」(文部科学省、2012)という記載がある。このような背景の中で、2011年から文部科学省は、トップアスリートの中でも女性アスリートに特化し、「女性アスリート戦略的強化支援方策の調査研究」を委託事業として開始した。2012年は2年目を迎え、順天堂大学が委託を受け実施している(http://www.juntendo.ac.jp/athletes/index.html)。
その調査研究の中で明らかとなった事実に基づき、現代における女性スポーツのあり方を、
女性アスリートに着目し、彼らが直面する課題について以下に述べてみたい。