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情報誌CEL

海老 久美子

2013年03月01日

本の万華鏡「スポーツが持つ‘多様な魅力’がQOLを豊かにする」を紐解くヒント

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2013年03月01日

海老 久美子

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情報誌CEL (Vol.103)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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「心の聖地〜スポーツ 戦いの記憶」
本書は、共同通信社が2010年に全国の加盟新聞社に配信し、2010年ミズノ・スポーツライター賞を受賞した『「心の聖地」−スポーツ、あの日から−』の書籍化である。
私はあまり深く考えずに、取材をお受けしたが、念入りな打ち合わせの後、撮影とともに数回に渡って滋賀の私の現場に来られた。その綿密で丁寧な取材に感銘を受けたのを憶えている。
書籍化された本書は、4つのカテゴリーで45編が収められている。内容の深さは、取り上げられた主人公達の名前が物語っているだろう。
一 時代に翻弄されながら 〜坂井義則(東京五輪聖火最終ランナー)、カール・シュランツ(アルペン)、カシアス内藤(ボクシング)、張本勲(プロ野球)、吉田実(競輪)、瀬古利彦(マラソン)、ベラ・チャスラフスカ(体操)、中西太(プロ野球)、竹田恒和(馬術)、王貞治(プロ野球)
二 苦悩の先、細い光 〜坂本佳一(夏の甲子園準優勝)、岩崎恭子(競泳)、池田敬子(体操)、北の湖(大相撲)、三輪勝(装蹄師)、吉田義男(元阪神監督)、荘則棟(卓球)、千田美智仁(ラグビー)、中嶋常幸(ゴルフ)、森且行(オートレーサー)
三 ライバルに背中を押され 〜君原健二(マラソン)、加藤滝男・保男(登山家)、早慶レガッタ(ボート)、橋爪四郎(競泳)、西側よしみ(競泳)、モハメド・ラシュワン(柔道)、北沢欣浩(スピードスケート)、村椿輝雄(野球)
四 パイオニアの苦悩 〜今村美智子(競技かるた)、辻谷政久(砲丸職人)、中山律子(ボウリング)、中井広恵(女流棋士)、海老久美子(スポーツ栄養学)、木之本興三(元・Jリーグ専務理事)、谷田絹子(バレーボール)、笹原広喜(車いすマラソン)、山口香(柔道)
五 世界を舞台に 〜川口悠子(フィギュアスケート)、ワタル・ミサカ(プロバスケットボール)、奥寺康彦(サッカー)、沢松和子(テニス)、篠塚健次郎(自動車ラリー)、村上雅則(元・大リーガー)、馬淵崇英(飛び込み競技指導者)、小林俊一(スポーツコーディネーター)<掲載順/敬称略>。
往年のトップ選手から私のような裏方まで、45人の心に秘める「聖地」をキーワードに、綿密な取材を元にそれぞれの軌跡を描き出す。時代や政治に翻弄されながらそれでも貫いた信念。選手として頂点を極めたその後の挫折、等、それぞれの心の聖地と共に語られる、それぞれの人生の闘いの記憶からは、今までに感じたことのなかったスポーツを味わうことができる。
それぞれ膨大になったと思われる情報から、丁寧に丁寧に研ぎすまされたボディ(本文)は、トップアスリートのボディ(肉体)を彷彿とさせる。そこに費やされたエネルギーを含め、まさにスポーツの“多様な魅力”を感じる一冊である。

 

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