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情報誌CEL

はな

2017年10月31日

わたしと奈良

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2017年10月31日

はな

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情報誌CEL (Vol.117)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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東京から新幹線に乗って、京都駅で下車。そこからまた電車を乗り換え、緑豊かな田園地帯を走り抜けると、大好きな仏像たちが住む街、奈良に到着です。
「京都駅から電車を乗り換える」このワンクッションが、都内に住む多くの方々に「奈良は遠い」と感じさせているようですが、むしろ大勢の観光客が下車する京都駅から、また別の世界へと誘ってくれる電車は、銀河鉄道999級のワクワク感が味わえるのでオススメ!日本最古の仏像たちがいらっしゃる奈良にたどり着くまでの道のりも時間も、全てがお目当ての仏像に会った時に味わう喜びへと、つながっていくのです。ここは仏像が住む世界への玄関口。トントン、と扉を叩けば、仏像たちが笑みを浮かべて、私たちを歓迎してくださいます。
どこまでも続く菜の花畑に田んぼ道、奈良県の明日香村にたどり着くと一瞬、タイムスリップしたような気分になる。飛鳥時代に、日本で初めて誕生した仏像がこの明日香村に佇む飛鳥寺に鎮座されています。飛鳥寺の釈迦如来さまは609年に、渡来人の血を引く止利仏師によって制作されました。奈良時代、平城京に都が置かれるまでの時代も、奈良は日本の文化の中心であり、百済から仏教と共に仏像を制作する技術が伝わり、この地で開花したのです。同じ飛鳥時代に、聖徳太子が建立した斑鳩の法隆寺には、止利仏師が制作した釈迦三尊像が。さらに、百済観音さまや救世観音さまが、飛鳥時代の仏像の特徴でもある杏仁形の目とアルカイックスマイルを浮かべ、1400年以上経った今も、この奈良から私たちを見守り続けてくださいます。
私がそもそも奈良の仏像に興味を持ち始めたのは、大学生の頃でした。比較文化学科の美術史を学んでいくうちに、東洋美術や仏教美術に興味が湧き、気がつけば、仏像漬けの日々を送っていました。インドから始まり、シルクロードを通って、日本に到着するまでの仏像の歴史を勉強していたので、当時は主に、日本以外の仏像の研究をしていました。授業中はスクリーンに映し出された仏像や、その仏像が誕生した土地の写真を見ながら、各国の文化の流れを比較していたのですが、興味深かったのが、その国を代表する仏像の技術、さらにはファッションやアクセサリーまでもが当時の流行を反映しており、仏像そのものがその時代の「最先端」だったことです。例えば、シルクロードで誕生した仏像の壁画や彫刻に見られる衣装や模様で、当時の文化の交流を垣間見ることができたり。
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