田中 雅人
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2019年07月01日 |
田中 雅人
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都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.122) |
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「定年後の楽しみは何ですか?」と訊かれて即答できる人はどれ程いるだろうか?
世界有数の長寿国の座を得て久しいわが国であるが、介護問題、年金問題、孤独死、認知症など、高齢社会に関する話題はネガティブなものが多く、果たして高齢者にとって住みやすい国なのだろうか?あなたは人生100年時代の到来を目前として、高齢社会に対応する準備は万端だろうか?
建物に構造寿命と機能寿命があるように、人の寿命にも肉体寿命と気持ちの寿命があるのではないだろうか。肉体寿命のことは医療の分野に任せるとして、われわれは気持ちの寿命を如何に延ばすかを考えてみたい。
近頃は、体はピンピンしているのに、時間を持て余している「長生き難民」が増えているという。あるいは肉体寿命が延びても、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)が下がっているという指摘もある。気持ちの寿命を延ばすには、とにかく、つながりを持つことが有効ではないか。
老いてからの独りは身にしみるし、何より孤独では気が滅入る。それが理由かはわからないが、最近は定年後の結婚、しかも初婚が増えているという。人間は社会的動物であるとアリストテレスは定義した。高齢者になっても、いや、高齢者になるほどに、社会的になる、つまり、いろんなつながりや交流を持つべきなのかもしれない。
さまざまな交流の場に顔を出して直接、人とのつながりを持つことはもちろん、デジタルアレルギーを取っ払って情報でつながり、また、会社をリタイア後もなお、仕事でつながる……。自身の努力はもちろんのこと、つながりや交流を促す社会のしくみやコミュニティの協力が不可欠だ。
長生き難民にならないために、さあ、今からつながりを持つ準備をしてみませんか!