池永 寛明
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2019年11月01日 |
池永 寛明
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都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.123) |
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開催を6年後に控えた2025年大阪・関西万博。1970年の大阪万博から55年ぶりの開催となる万博をどう考えていくのか。池永寛明大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所顧問を中心に「大阪・関西万博会議〜ワイガヤサロン〜」などを通じて、多角的に考察していく。今回のテーマは「大阪・関西万博2025に盛りこみたいもの」である。
「私たちが考える万博」連載第11回(前号)では、これまでの博覧会が行われた背景について考察しました。その視点として重要なのは、過去の万博をノスタルジーの目線で語るのではなく、過去から現代・未来につながる「時代の潮流・変化の構造」で捉えることです。1903(明治36)年の第5回内国勧業博覧会にはじまる大阪で行われた主要な博覧会の流れから、殖産興業や教育、消費文化の普及にとどまらない、都市・産業戦略の一環として開催されてきたことがわかりました。つまり、100年の計で大阪の近代化をもくろんだ、「大大阪」に至る明快なグランドデザインが背景にあったわけです。
そうした背景を踏まえ、今回からは「大阪・関西万博2025に私たちは何を盛りこみたいか」を考察していきたいと思います。議論の場のひとつとして、「大阪・関西万博会議〜ワイガヤサロン〜」がナレッジキャピタルで立ちあがり、すでに5回にわたり会議を重ねてきました。ワイガヤサロンでの活発な議論のなかで得た知見と「ルネッセ(再起動)」戦略を掛けあわせて、今私が考える万博をお話しします。
「日本的プロトコル」を生み出した大阪・関西だからこそできること
博覧会が都市・産業戦略の一環で行われてきたものであるという文脈のなかで「大阪・関西万博2025」を考える場合、押さえるべき事項として「万博を大阪・関西で開催する必然性・現代性」についての考察があると思います。
1400年の歴史をもち、シルクロードの終着点でもある関西は、世界のさまざまな文化と日本の本質を融合し、「日本的なるもの」といえる独自の洗練さを生み出し続けてきました。日本人の知性と感性をもって、日本モード(様式)化するという翻訳・編集力に長けており、コードをモード化するためのベースとなる基盤である「日本プロトコル」を生み出している地です。