田中 雅人
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2020年03月01日 |
田中 雅人
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都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.124) |
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CELからのメッセージ
異なるものをつなぐ魅力
Creativity is just connecting things.
スティーブ・ジョブズの有名な言葉である。iPhoneが商品として世の中に現れた時、世界は驚きの渦にのまれた。しかし、iPhoneのコンポーネントはそれまで存在していた技術の組み合わせであった。つまり、携帯電話、タッチパネル、インターネットはすでに存在したが、それら異なる分野の技術をうまく組み合わせて、ひとつの商品にしたことで、スマホ革命につながるものの誕生になったのである。
世の中には、異なるものがつながって、新しいものが誕生するケースがたくさんある。しかし、異なるものは偶発的にはなかなかつながらない。異なるものがつながるためには、「場」「お節介」「意欲」が必要である。
シリコンバレーはベンチャー企業やクリエイターが集まって、新しいものを作り出す「場」であるし、ビジネスマッチングを図る「お節介」な目利き役がいるし、何よりも、我こそは世の中に新しいものやビジネスを作り出すのだという「意欲」のある若者が集結している。頼もしい限りである。
我々がいるエネルギー業界もまたしかり。かつての閉鎖的な業界に異業種からの参入、つまりエネルギーと異業種の出会いによって、新しい商品やビジネスが生まれてきている。GAFAと呼ばれるIT企業がエネルギー業界に進出し、新たなビジネスモデルを模索しているのは、とてつもない脅威であるが、我々はそれを待ち受けていてはいけない。むしろ、彼らよりも先に、我々こそが、アンテナを張り巡らして異分野に触手を伸ばし、新しいものを生み出していかなくてはならない。攻撃は最大の防御である。能動的に、異分野、異文化、異業種との接点の場づくりをし、お節介提案をし、そしてそれらを意欲的につなげていくことで、明るい未来を切り拓いていきたいものである。新時代のエネルギービジネスの模索は、未知への挑戦であり、新しいものを生み出す喜びであり、それこそが、いま我々に求められる使命ではないだろうか。