桑原 果林
2020年07月01日作成年月日 |
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2020年07月01日 |
桑原 果林 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.125) |
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子どもが世界一幸福な国、オランダの「選べる教育」
――日本の教育と比べて思うこと
ユニセフの2013年の調査において、世界で最も幸福度が高いとされたオランダの子どもたちは、どのような環境で、どのように学んでいるのだろうか。
日蘭の両文化をよく知るアムステルダム在住の桑原果林さんが、生活体験にもとづいた「選べる教育」の実際をリポートしてくれた。
先日、今年3歳を迎える息子のために、通学圏内にある複数の小学校による合同説明会に参加してきました。オランダの義務教育が始まるのは満5歳からですが、4歳から任意で小学校に入学させることができ、3歳の誕生日を迎える頃には小学校への申し込みの案内が市役所から届きます。日本の学区制と異なり、親は好きな学校に入学希望を出すことができるのです。
ではオランダの親たちが学校選びにおいてどこに注目するかといえば、立地の次に挙げられるのが学校の基本理念です。カトリック系、プロテスタント系、イスラム系などの宗教を掲げる学校と中立系・非宗教系の学校のほかに、モンテッソーリ、ダルトン、イエナプラン、シュタイナーなどの教育法を掲げる「オルタナティブスクール」と呼ばれる学校があります。オルタナティブスクールについてここでは詳しく書けませんが、重要なのは各学校に特色があり、教育目標達成へのアプローチも様々であるということ。憲法により教育の自由が保障されているオランダでは、それぞれの学校が任意の教材で独自の方法による教育を展開しているのです。
日本では学校選びにおいて大きな判断材料の一つとなる学費ですが、オランダでは公立も私立も16歳まで学費が無償です。アムステルダムの我が家では周囲1km以内だけで7つもの小学校があり、選択肢がとても豊富なのがおわかりいただけるでしょう。
私自身も様々な学校を見学しましたが、授業の様子を見てまず驚いたのは、先生と子どもたちとの関係性でした。私が日本で学校に通っていた当時、先生は絶対的な存在という雰囲気があり、とにかく言われたことには黙って従うものだと思っていました。それに対してオランダでは、先生に自由に質問や意見ができる雰囲気がありますし、子どもたちもそうすることに慣れています。先生と児童がまるで対等な立場にあるかのようです。こちらに住む友人の5歳の息子さん(Rくん)の話を例に挙げます。