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情報誌CEL

山下 裕子

2024年03月01日

「広場」を核にした、歩きたくなるまちづくり −富山「グランドプラザ」はなぜ成功したか

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媒体(Vol.)

備考

2024年03月01日

山下 裕子

都市・コミュニティ
住まい・生活

まちづくり
住環境
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.134)

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冊子発行後、原稿の一部を修正したため、PDFを差し替えました。
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道行く人々が自然に集まってしまう場所である「広場」は、ウォーカブルなまちづくりに欠かせない要素のひとつ。では一体、何が広場を広場たらしめるのか? そして、よい広場とはどんな場所なのか? 2007年に富山市の中心市街地に整備された全天候型の屋外広場である「グランドプラザ(愛称)」は、公共空間としては異例の稼働率を実現し、同市が掲げる"コンパクトシティ"推進にも大きな役割を果たしている。開業以前からこの広場の準備・運営に関わり、現在は「広場ニスト」として全国のまちづくりを支援している山下裕子氏に、グランドプラザ成功の理由と居心地のよい広場の条件を教えてもらった。


富山駅に近い中心街、アーケードの通りが縦横に巡る一角に、天井と側面をガラスで包み込むようにおおった明るい空間があり、通りかかる人は曇り空からいきなり日が差し込んだような解放感を覚える。そこここに緑の木々が植わったプランターがあり、見上げると壁面には巨大なモニターが。ここは広い道なのか、それとも建物の内部なのか。他とは違うと感じるものの、すぐには「広場」とは気づかないだろう。そんな感想を伝えると、山下氏は嬉しそうに笑ってくれた。

「その何気ない感じ、いい意味での存在感の希薄さがグランドプラザの特徴なんです。設計された淺石優[*1]さんも、空間そのものより、歩いたり立ち止まったりする人のアクティビティが主役となる、そんな美しい広場をつくりたいと考えたとおっしゃいます」
特殊工法を駆使し、高さと軽さを強調した屋根は、建築業界でもなかなか「建築物」として評価されなかったとか。法令的にも火気の使用を可能にするなど自由度を高めるため、あくまで「屋外空間」として整備する工夫を随所に凝らしている。
「淺石さんは、現場責任者だった富山市都市整備部の京田憲明[*2]さんが、いわゆる建築の専門家ではなくてよかった(ランドスケープが専門)と語っています。


[*1]建築家。東京都市大学(旧武蔵工業大学)都市生活学部教授。日本設計プリンシパルデザイナー。
[*2]富山市生まれ。中心市街地活性化推進室や都市整備部を中心に、富山市政に携わる。退職後、現在は複合施設富山市民プラザの代表取締役社長。

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