2023年12月21日
大阪市立中泉尾小学校では、2024年12月に100周年を迎えるにあたり、その記念式典において、6年生がわがまちの魅力紹介を発表する計画があり、「語りべシアター」の手法を活用できないかと相談を受けておりました。
そこで、まず昨年2022年には、全学年の生徒を対象に、地域のことを知る面白さを味わってもらおうと、小学校から比較的距離の近い「新世界」や「通天閣」についての歩みやエピソードを、語りに映像と音楽を交えた語りべシアターの形式で公演を実施しました。※昨年の活動報告参照
そして、今年度も同小学校から公演依頼があり、記念式典に向けての発表内容の制作に関わる5年生の生徒さんと、今年度お手伝いしてもらう6年生の生徒さんの2学年に絞って、再び「語りべシアター」の公演を行いました。
この2学年の生徒さんにわかりやすい題材はないかと考えた末、「甲子園」について以前まとめた作品をアレンジすることにしました。生徒さんが暮らす大阪府の隣の県ではありますが、ちょうど、プロ野球の阪神タイガースが優勝したこともあり、そのホームグラウンドである甲子園球場を中心としたエピソードの紹介は、親しみやすいのではないかと考えたからです。昨年同様、クイズを入れたり、解説をより丁寧にわかりやすくしたり、小学生に親しみがあるであろう音楽を演奏したりと、飽きることなく話についていけるように工夫しました。たとえば、「甲子園」の名前の由来については、干支のそれぞれ1番目に来る「甲(きのえ)」と「子(ねずみ)」の組み合わせ、という60年に1度の稀有な年に完成した事から決まった、と説明するため、丁寧に時間をかけました。
当初、体育館での実施を予定しておりましたが、大寒波到来のため急遽音楽室に変更してもらい、アットホームな雰囲気で、生徒さんの表情などを確かめながら公演を進めることができました。
後日受け取ったアンケートには「甲子園の名前の由来や、完成するまですごく大変だったことなど、知らないことばかりで詳しく説明してくれて、よくわかった」「音読の人と、ヴァイオリン、ピアノの人が雰囲気がぴったり合っていて、画面もわかりやすかった」「中泉尾の100周年に向けて、いろいろなことを調べたり、役に立てるようにしたい。すごい作品をつくれるよう頑張りたい」といった前向きな感想が記されており、今回の公演実施の役割は果たせたのかなと少し安心しました。
ここからは、いよいよ式典に向けての生徒さんによる制作準備の開始となります。発表内容については、教頭先生からの提案で、校歌の歌詞に記された中泉尾小学校周辺地域の特徴をテーマに進めることになりました。これから、どんなアイデアが出てくるか楽しみにしながら、必要に応じて本番までサポートしていこうと考えています。
日 時
12月21日(木) 10:45〜(3時限目・4時限目)
場 所
大阪市立中泉尾小学校 音楽室
参加人数
約80人(5年生と6年生の生徒さん)
2023年10月28日
「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」(通称イケフェス大阪)は、大阪のまちを1つの大きなミュージアムと捉え、そこに存在する'生きた建築'を通して見えてくる、多様で豊かな都市の物語性を大阪の新しい魅力として創造・発信しようとする取組みです。2013年度から実証実験を経て立ち上がり、今年は10回目として、10月28日、29日に開催されましたが、その公式プログラムとして、「大阪ガスビルを設計した建築家、安井武雄」に焦点を当てて、語りべシアターを上演しました。
大阪ガスグループの自社ビルである、「大阪ガスビルディング」(通称ガスビル)は、大阪、船場界隈のモダン建築の中でも代表的なものの1つとして、メディアでも度々紹介されています。1933(昭和8)年竣工。設計者である安井武雄の仕事の集大成と評されており、さらに1966(昭和41)年に、安井建築設計事務所の佐野正一により増築された北館もあわせて、高く評価されています。この建築について、設計者がどのような思いで手掛けたのか、また、なぜそこまで高い評価を得ているのかぜひ知りたいと同時に多くの人に知ってほしいと考え、設計者である安井武雄とその作品について調べ、1つの物語として「語りべシアター」の形式で公演を開催することにしました。
安井武雄は、関西を中心に活躍した建築家なのですが、一般にはそんなに有名ではないのかもしれません。また、同氏に関して、まとまった資料文献は数多くはなかったのですが、『自由様式への道 建築家安井武雄伝』(山口廣著1984年発行)という1冊に、かなり詳細に記されており、これをベースに調査を進めました。同時に、安井武雄が立ち上げ今も続いている安井建築設計事務所のご関係者様にも、資料や情報の提供にご協力いただきました。
安井武雄という人物とその作品について、より理解を深めていただくため、さまざまなエピソードや資料、描き起こしのイラストをまじえて、電気紙芝居的にパワーポイント画面と台本を作成しました。イラストは、以前より何回かお世話になってきたチャンキー松本さんに作画いただきました。音楽は、ピアノの宮川真由美さん、ヴァイオリンの西村恵一さんにくわえ、今回は尺八奏者の饗庭凱山さんに参画いただき、和洋折衷の、まさに安井武雄的なコラボが実現しました。さらに今回は、役者の石原正一さんに依頼して安井武雄役として、演じていただきました。
当日は、2回公演を行い、約200名近くの方にお越しいただきました。2回目の公演では同時にライブ配信も実施しました。(42視聴回数でした。)
もともと、語りべシアターに興味をお持ちの方もいらっしゃいましたが、ほとんどが初めてという方でした。公式ガイドブックやホームページ、チラシでのご案内ではなかなか公演のイメージが伝わらないのが悩みでしたが、アンケートでは「初めて見たが、想像していたよりずっと良かった」「安井武雄やガスビルなどよく分かった」「語りと音楽とお芝居のコラボレーションが素晴らしい」「イケフェスに良いプログラムだと思った」「他の作品もまた見てみたい」「未来のガスビルが楽しみだ」などの声がありました。ガスビルの中で上演できたことも効果的でした。制作にあたり、台本をすべてチェックしてくださった、安井建築設計事務所社長の佐野吉彦様も御覧いただき、「胸にぐっと迫ってくるシーンもあり、感動しました」と言っていただけたのが、非常にうれしかったです。
日 時
10月28日(土) 1回目15:00〜15:40 2回目17:00〜17:40
場 所
大阪ガスビル3Fホール
参加費
無料
来場者
約200名
2023年7月26日
2022年、大阪市総合生涯学習センター主催「いちょうカレッジ」で「語りべになろう」と題した講座を行いましたが、その修了生を中心にチームを組み、語りべシアター形式での作品発表会を開催しました。半年以上かけて準備をした甲斐があり、個性のあるユニークな作品がそろいました。5つのチームで発表予定でしたが、当日体調不良で欠席のチームがあり、ピンチヒッターとして栗本(CEL研究員)が話題提供をしました。参加者の感想としては、「とても楽しく勉強できるよい機会だった」「出演者の方の努力や熱意に感銘・感動した」「また次の機会も設けてほしい」「今は仕事が忙しいが、活動に興味がある」などで、大変好評でした。
日 時
7月26日(水) 13:30〜16:30
場 所
大阪市総合生涯学習センター
来場者
約90名※早々に満席となった
プログラム
1.「漫画(手塚治虫)と劇画(さいとうたかを)の大阪」
2.「中之島今昔ものがたり〜橋で遊びながら、まちの魅力を見つけよう〜」
3.「大阪ゆかりの女流作家作品の舞台を巡る」
4.「大阪御堂筋ものがたり」より
※コロナで欠席のチームのピンチヒッターとして栗本が話題提供。
5.「阪神間モダニズム」