山本 忠
2009年03月19日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2009年03月19日 |
山本 忠 |
住まい・生活 |
住宅 |
情報誌CEL (Vol.88) |
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アメリカの住宅市場では、プライムローンを利用した住宅取得層に加え、ここ数年サブプライムローンを利用した住宅取得層が増加してきていた。このサブプライムローンは、所得の低い層でも住宅を取得しやすくするために開発された住宅ローンであり、貸し手(金融機関等)にとってハイリターンな商品であるとともに、借り手にとってもハイリスクなローンである。ローン金利はやや高いが、当時の住宅価格は上昇を続けていたために、貸し手としては、一部の焦げ付きはあるものの住宅価格が上昇している間は問題視しなかった。また、Interest-Only Loansといわれる、住宅購入後の数年は金利負担を低くし、その後、金利が上昇する仕組みのローンもあった。このローンは、購入する側からはやや不安はあっても、当時は住宅価格が上昇していたので、返済に困っても借り換えや売却をすれば済むとの考えで利用しやすかった。またアメリカには、「一定の条件に該当する低所得者に対し、住宅ローン利子の一定割合に当たる額を税額控除することを認める制度」という住宅税制があり、これも後押ししていたと思われる。
サブプライムローンが問題となった発端
アメリカの住宅価格は2000年以降上昇を続け「住宅バブル」といわれてきた。これにより新たな住宅需要を発掘し、住宅ローンの利用者は1991年の22%から2003年には35%へ増加した。しかし2006年に入って、住宅価格は上昇から下落に転じ、これとともにサブプライムローン返済の延滞率が上昇した(2006年末には住宅ローン全体の約13%をサブプライムローンが占めており、利払いが3ヶ月以上滞る延滞率が13%を超えた)。