多木 秀雄
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2009年03月19日 |
多木 秀雄
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住まい・生活 |
住宅 |
情報誌CEL (Vol.88) |
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はじめに
「団地」という言葉には、はじめて耳にした当時の風景を思い出させてくれる懐かしい響きがある。私の家の近所にも団地があり、小学校の友達が何人も住んでいて、団地の広場でよく遊んだ。つづみ形をしたランドマーク的な給水塔の周囲は、いろいろな遊びができるわくわくする場所であった。中学生になる頃、そのうちの一人が千里ニュータウンへ引っ越してゆくという話を聞き、「遠いところへ行ってしまうんだ」と感じたことをよく覚えている。
この「団地」という語は、「一団の土地」という法律用語の略語である「一団地」から来ている。区画されてはいるものの、一体の土地として利用すべき土地のまとまりを意味する。大正8年の都市計画法に「一団地の住宅建設」という語が現れ、これが「団地」という用語の元となったそうである。しかし、団地という言葉が一般化したのは、日本住宅公団が設立された昭和30年以降のことと見られる。
高度経済成長を支えてきた団地は、その後40数年経過し、建物の老朽化、住民の高齢化などに起因する課題への対応が急務となっており、環境と社会の持続可能性を体現する「再生のあり方」が求められている。今回の特集は、かつて団地が生み出された時代・社会背景を踏まえながら、新しい時代が要請する“団地再生“の意味とあり方を明らかにしようと企画した。