池本 忠弘・山村 尊房
2009年01月08日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2009年01月08日 |
池本 忠弘・山村 尊房 |
エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.87) |
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水利用の実態と水道におけるエネルギー消費
水は私たちの生活や都市活動に欠かすことのできないものです。水はさまざまな用途で用いられますが、そのうち、生活に必要な水のほとんどは、今日では水道から供給されています。ちなみに図1は、日本における水利用の実態を表したものです。平成17年度に河川や地下水などの水源から取水された水の量は、全国合計で834億立方メートルでした(※1)。用途別に見ると、農業用が549億立方メートルと最も多く、次いで、生活用(水道水として供給)が159億立方メートル、工業用が126億立方メートルとなっています。
日本の近代水道は、明治20年(1887)の横浜水道に始まります。明治初期のコレラ等の全国的な蔓延などを背景に、衛生上安全な水の供給を第一の目的として、感染症の進入経路である港湾都市において早期に整備されました。その後、大都市を中心に整備が進み、戦後急速に普及していきました。平成18年度末現在、水道を利用している人は全国
で1億2436万人、普及率は97・3%となっており、ほとんどの国民が水道を利用している状況にあります(※2)。一人ひとりが一日に使用する生活用水は、戦後、生活水準の向上などにより増加していきましたが、節水機器の普及や節水意識の高まりなどにより伸びが鈍化していき、平成9年度前後をピークに、以降、わずかながら減少している傾向にあります