狭間 惠三子
2008年10月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2008年10月01日 |
狭間 惠三子 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.86) |
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はじめに
豊かな社会の実現、情報化の進展など時代の変化の中で、家族や親子の関係、子どもたちの生活も随分変わってきた。「子どもと大人」「子どもと地域社会」など、本来であれば、つながっていたり、重なっていたものにスキマが生じたりしており、それらを結ぶ人や場が少なくなったことも大きな課題である。私たち大人は、子どもや若者たちと社会をつなぐ結び手となり、次世代と大人との信頼関係を取り戻していかなければならないのではないだろうか。
二〇二〇年の子どもたちが、あるいは子どもたちを育む家族や学校、地域がどうなっているか、それを予想することなどできない。ただ、現在の子どもたちと子どもたちを取り巻く環境が抱える課題を考えることで、未来の子どもたちにとって少しでも良い方向に進んでほしいと願う。
私が所属していたサントリー次世代研究所(二〇〇八年三月活動終了)は、平成元年に設立されたサントリー不易流行研究所の流れを汲み、二〇〇五年より子どもと若者をめぐる問題にテーマを絞り、「子ども自身」「子どもを育む家庭」「次世代を取り巻く社会」について調査・研究を行ってきた。
子どもの健全な育ちに大きな役割を担う家族については、一九九九年〜二〇〇〇年に「家族に関する国際調査」、二〇〇五年〜〇六年にかけて「現代親子調査」、そして二〇〇七年には「子育て家族の食卓調査」を行った。豊かな中に生まれ、「我慢」や「努力」の必要がない時代に、親がいかに子どもを導き自立させていくのか。
まずは、それらの調査の中から見えてきた現代の家族や子どもの姿を映し出し、現代の子育て世代ならではの特徴や課題を考えてみたい。