豊田 尚吾
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2008年10月01日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.86) |
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はじめに
現在、日本では「失われた一〇年」といわれたバブルの後始末を終えた後の、戦後最長といわれる景気回復が終焉したことが確実視されている。正式には景気の山がいつであったのかはまだ確定されていないものの、昨年末あたりがピークであったであろうというのが現時点での通説である。原油など輸入品の価格高騰を受け、物価は徐々に上がっているし、企業収益の見通しも暗い。求人倍率も下がってきた。
とはいえ、生産・支出(フロー)ベースで見た経済は最悪というほどではなく、喜ばしいことに相変わらず日本は長寿大国(特に女性は世界一の長寿国)である。これから論じる「これからの住まいとライフスタイルに関する生活意識調査(平成二〇年)」(以下、「生活意識調査」)でも、生活満足度は足下で急回復している(このことについては季刊誌「CEL」八五号の拙稿で報告した)。しかし、この幸福が二〇二〇年まで、あるいはもっと先まで続くかどうかは分からない。
個人の幸福を実現するための条件として、我々を取り巻く社会が健全に機能していることは不可欠である。なぜなら、我々は市場経済社会という基盤の上で幸福を享受している存在であり、他者との協力(互恵的関係)がなければ、衣食住をはじめ、たちまち困窮に陥ってしまうことは明白だからである。では、社会の健全性が長期的に維持可能かどうかについて考える場合、どのような課題が重要になってくるのであろうか。