出口 正之
2008年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2008年06月30日 |
出口 正之 |
住まい・生活 |
食生活 |
情報誌CEL (Vol.85) |
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独創性の高い食育政策と地域のサポート企業団
日本の政策の中で「食育政策」は、異彩を放っているといってよい。なぜならば、「食育」という言葉自体、日本の中でも新語と言ってよく、それに相当する外国語も見受けられないからだ(※1)。
平成一七(二〇〇五)年に食育基本法が議員立法で成立すると、「食育」に関する官民合わせた取り組みが一気に本格化した。
食育基本法では、前文において「今、改めて、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、さまざまな経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている」としている。面白いことに「食育」そのものの定義規定はない。
また、同法に基づく食育推進基本計画では、「食育の観点からは、これが世界に誇り得る考え方であることにかんがみ、(中略)食育の理念や取り組み等について海外に発信し『食育(Shokuiku)』という言葉が通用することを目指す」(※2)としており、食育政策が日本の中で生まれたものであって、その独自性において際立っている。
企業など「食品関連事業者等」に対しては、食育の推進や国または地方公共団体が実施する施策や活動への協力についての努力規定が設けられている(同法一二条)。また、「食品関連事業者等」が行う、地域における食生活の改善を目的とした取り組みの推進や食育推進運動の展開について、国および地方公共団体は、支援など必要な施策を講ずるものとする、とされた(同法二一条、二二条)。その結果、地域社会での企業と地方公共団体との協力体制がいち早くとられることになった。