垣田 達哉
2008年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2008年06月30日 |
垣田 達哉 |
住まい・生活 |
食生活 |
情報誌CEL (Vol.85) |
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中国製ギョーザ中毒事件の教訓
中国製冷凍ギョーザ中毒事件では、千葉市の被害者宅に残っていた調理済みのギョーザの皮から最高濃度三万一一三〇ppmという信じられない高濃度のメタミドホスが検出された。ギョーザ四個分で、体重六〇?の成人の致死量に相当するという。殺意を持って混入しなければ、これほど高濃度の農薬が食品から検出されるとは考えられない。五歳の女児が助かったのは奇跡的かもしれない。これは「食品テロ」といっても過言ではない。
中国側には、禁止農薬が流通していることと、農薬や殺鼠剤などの毒物が手に入りやすい環境であるという大きな問題がある。一方、日本に突きつけられた課題は、中国よりはるかに深刻である。
一つは、「日本の検疫体制が農薬や毒物に対して無防備である」ということだ。日本の検疫では、ギョーザなど多くの具材が入り交じった加工食品については、大腸菌など一般的な食中毒菌と添加物しか検査をしていなかった。今回の事件は、ギョーザでなくても、冷凍でなくても、メタミドホス以外の農薬であっても、農薬以外の毒物(殺鼠剤など)であっても不思議はなかった。同様の事件は、今後もどんな毒物でも、どんな加工食品でも起こり得ることだ。