坂井 猛・有川 節夫
2008年03月21日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2008年03月21日 |
坂井 猛・有川 節夫 |
都市・コミュニティ |
都市システム・構造 |
情報誌CEL (Vol.84) |
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九州大学は、一九一一年創設以来の大改革による新しい時代の大学像を全国に先駆けて実現するため、福岡市西部の糸島半島に新天地を求めた。伊都キャンパスは、福岡の都心から車で三〇分の距離にありながら、水と緑が豊かな自然環境の中にある。九州大学では新キャンパス計画専門委員会を組織し、地盤、水工、生態、交通、都市、建築、考古学などの学内外の専門家により構成するワーキンググループによって、用地の分析と計画の検討を行ってきた。二〇〇一年に策定した「新キャンパス・マスタープラン二〇〇一」では、博多湾、福岡市街地、背振山系と田園などの遠景要素への眺望を積極的に活かし、緑地の保全に配慮しつつ、社会に開かれたキャンパスを創り出すための方針を示した。さらに、マスタープランの理念を実施ベースに反映させ、パブリックスペースにおけるクオリティの確保をはかるため、二〇〇四年に「パブリックスペース・デザインマニュアル」を策定し、ランドスケープ、植栽、サイン、光環境、アート、ファニチャー、色彩、素材等に関するデザインの方向性と手法を示した。
(1)ランドスケープと植栽:?地域の風土・ランドスケープとの調和、?自然との多様な接点の創出、?大学生活の「場」にふさわしい創造性を誘発する空間の創出、という三つのコンセプトに沿って、大学の「風格」を表す重要な要素とする。
(2)サインと光環境:?情報拠点への的確な配置、?現在位置のわかりやすさ、?通り名称の活用、?照明とサインの一体的整備、?変化への対応など、大学にふさわしい提案を織り込んだサインを整備する。また、「防犯性」や「安全性」などの役割をもつ機能照明に加え、演出照明によって「話題性」、「ランドマーク性」を確立する。さらに、自然や植物の生態系を守るために人工光が漏れないよう配慮している。
(3)アートとファニチャー:「美しさ」や「うるおい」そして「象徴性」をもたらすとともに、「感性」を刺激し、大学のアイデンティティを高めるうえで重要なアートワークは、評価・選定ワーキンググループによる選定・公募などを行う。
(4)色彩と素材:飽きのこない、周辺景観を活かす色彩環境を形成し構成要素間の調和に配慮し、大学で新たに規定されたシンボルカラーを効果的に活用するとともに、旧キャンパスの色彩イメージの活用をはかる。